「さくらのいる日々」

5 牛の赤ちゃんに間違えられた!

さくらにとって福岡在住の4年間は輝かしい日々であった。海や山へと出かけて、思いっきり走り回った楽しい思い出ばかりである。

ある日、阿蘇山へのドライブにさくらを連れていくことになった。牛が放牧されている広々とした草千里をさくらに思いっきり走り回らせてみたいというのがその目的である。

しかし、あこがれの草千里、着いてみてびっくり、広々とした草原はいたるところ牛の糞だらけなのである。さくらはいまだかつて経験のない匂いに興奮して、なんと体をその糞にこすりつけるという行為に出た。

草原で走る回るさくらを眺めてお弁当でも食べようかという我々の計画はおじゃん、糞だらけのさくらをどうしようとただ途方に暮れるばかり……

何とか水道をみつけ、頭から水をかけて洗い、どうにかきれいになったさくらはさっぱりしたのだろう、草原を走り回る。

と、テリトリーに入るのを怒った大きな牛がさくらを突然追いかけ始めた。血相を変えて逃げるさくら…………いっときヒヤッとはしたものの、どうにか牛の怒りは収まった。

そんな時に、遠くの人ごみから「あっ、牛の赤ちゃんがいるよ!」という声がした。子供がお父さんに話し掛けているのだ。「本当だ……あれ? あれは犬じゃないか!」とお父さん。なんとさくらはその太さのせいか、牛の赤ちゃんに間違えられてしまったのである。

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