「さくらのいる日々」

4 好奇心旺盛なさくら

さくらは小さいころから実に好奇心旺盛な犬であった。特にネコに対してのそれは際立っており、ネコを見つけたら頭は真っ白、一体ネコはどんな匂いがするのだろうか、どんな体をしているのか、どんな声をしているのか、とネコに向かって一目散というわけだが、いまだかつてそんなさくらの好奇心に応えてくれるネコに会ったためしはない。

そんなさくらが福岡在住の折り、大濠公園のアヒルを見つけたとたん池に飛び込んだ。アヒルはすいすいと逃げ、さくらは生まれて初めての犬かきで必死に泳ぐ。その時ジョギングをしていたおばさんが通りかかり「犬にアヒルを追いかけさせるとですか!」とえらい剣幕である。

おりしも当のさくらは、すいすいと逃げるアヒルをあきらめて岸にたどりついたところであった。犬ともどもそのおばさんの前に小さくなっていたところ、何とアヒルがまたさくらのところに寄ってきた。「ワーイ、どうしたんだい。こっち来てみろよ」とさくらをからかっているのである。それを見たおばさんは「ワァハァハァ、まあ、好きにしんしゃい」と言って去っていった。

このページに流れている音楽の著作権はClassic MIDI Room(http://www.ic-net.or.jp/home/ikeshu/)にあります

 

「牛の赤ちゃんに間違えられた!」へ