土屋にょーぼの K4-GP 参戦記〜あるいは汗と涙の混走レース初体験記〜

はじめにおことわり: この文章を書き始めたのは, FISCOのレースが終わって 1週間後の土曜の夜でありました. しかしながら, ただでさえ遅筆な上に, 兼業主婦の忙しさも加わって, なかなか物書きの時間がとれず, 書き上がるま でに10日もかかってしまいました.
そんなわけで, 多少時間的なずれはあるかもしれませんが, そのへんはどうか ご了承くださいませ.

早いですね… あれからもう1週間ですか. 暦はいつしか9月に替わり, け どこのクソ暑さは何なんだ?
「今日の最高気温, 熊谷39.8℃, 水戸36.9℃…」と言う気象情報のおにーさん の声を聞きながら, 昼間出来上がってきた 8/27 FISCO での K4-GP の写真を しみじみと眺めてみる. この1ヶ月間のさまざまな思いが, サーキットを走 る車のように頭の中を駆け巡る…

そーです, 私が全部悪いんです. この文章をお読みの皆様は, とっくにダン ナの HP をご覧になっていると思いますが, 事の起こりは7月末のある夜のこ と. ダンナが「かず (私のこと), こんなんあるんだけどさ…」といって持っ てきたのがこの話.
「石川カプチーノが出るって言う話で, 土屋さんとこもどうですか, っつーん だけど」
「へー, 富士のフルコース走れるの? いーじゃん, それ. 車高調 today で 出れば」 FISCOが走れるということだけ, ですっかり乗り気になってしまった 私は, それ以外のことはな〜んにも考えず (実はよくよく考えるとひじょーに 無謀な事だったのだが), 翌日主催者であるインターランド (株) に電話をか けたのでありました.

私「あのー, 8/27に FISCO で行われるという K4-GP に参加申し込みしたいん ですが, もう締め切っちゃいました?」
担当者「えー, 実はー, まだ申し込み用紙を発送していないんですよ. とり あえずお申し込みいただいて…」

その時点ですでに開催日まで1ヶ月を切っていたように思うのですが. 漠然 とした不安をかかえながらも, とりあえずダンナの名前で申し込みをしました.

さてそれからが大変でした. 3人目のドライバーを誰にするかから始まって, クルマにはリミッターカッターをつけませうという竹下さんの助言に基づきダ ンナはどこの何をつけるか悩みに悩み, さらにはタイヤどーする, とか, オイ ルどーする, とか, 昼も夜も悩みは尽きず, こっちはこっちでなかなか届かな い申し込み書にいらいらしていると, 結局届いたのが8/12. んでもって, 申 し込み金と参加者の名前書いてはんこ押して21日必着で送れという. そんな 無茶な (ちなみにこの日は土曜日でした). 気がつくと, こばやしさんの住所 も知らないということがわかり, それからの騒ぎは, 締め切り前の漫画家のオ フィスってこんなもん? っつーくらいのドタバタ状態でありました.

結局こばやしさんの件はちょっとばかし悪いことしてなんとかしてしまい, 後 は「開催日の1週間前くらいに送ります」と言っていた, 当日のスケジュール の最終案内を待つばかり…なのが, これがまたなかなか届かない. 「今日く らいには来てくれないと間に合わねーぞ」ほとんど切れかけた水曜日, 配達さ れた2通の速達. 消印を見ると, 21日の最終便時刻. きっと締め切りぎりぎ りまで待ってから速攻で発送したに違いない, と, その辺の努力だけは買って あげることにして, 開けてみると, 1通目には当日のスケジュールその他もろ もろ. で, もう1つはと見ると, 「説明し忘れましたが…」当日の服装, 必 需品 (よーするに, 長袖長ズボン, ヘルメット, グローブ, テープ等々). … ほんとにだいぢょぶかい, みなさん… (ひじょーに不安) .
ま, こっちは金払って (当たり前だけど) 参加するんだから, 楽しませていた だかないと, と思ってスケジュールを見ると, 「受付 6:00〜8:00」 えーっ, ほいだらつくばを何時に出りゃ間に合うんかいの?3時か?勘弁してよー. ダンナが「大石さんちかやーさき氏 (某クルマ関係N社の関連会社にお勤めの 友人) にでも泊めてもらう?」と言ったとき, ふと気がついた. 「こばやし さんちって, 小田原じゃなかったっけ?」 早速ねごねごして泊めてもらうこ とに. 「いいですよー. うちからだと御殿場まで1時間だし」 あーうらや ましい.
(でも考えてみると, うちだって "筑波サーキットまで 15分" とか言ったら, うらやむ方はいっぱいいらっしゃるんですよね.)

ともかく. 前日 (8/26) は隅田川の花火大会の日でもあるので, 首都高6号 線の渋滞を懸念して昼過ぎに家を出たのですが, たいしたこともなくあっさり 通過してしまい (むしろいつも実家へ帰る時の, 朝早くの方がずっと混んでる) 4時には小田原に着いてしまっていました. その晩はこばやしさんちですっ かりくつろいでしまい, 明日の事は頭にあるのかないのか, 酒も入っていい気 分になり, 気がつけば時計は12時を回っている.
「明日の朝, 何時に出たらいいんですかね」
「6時受付だから, 5時ですか」
「ぢゃ, 4時半くらいに起きますか」
…起きれるんだろうか, 私. ('ちょー' 不安.)

結局当日こばやしさんちを出たのは5時半頃でした. ゲートにつくと, いる わいるわ, ごくフツーのから怪しげなのまで軽自動車がぞろぞろ, それに混じっ て, 当日午前中に行われるレースに出るハチロクとか, どうみても走り屋さん の爆音クンとか.
入場料は別途取られるので, 入り口でお金を払って, と. (ゴールド免許の人 は安くなるとは知りませんでした: ¥1,600のとこを¥1,450. 持つべき物はゴー ルド免許?)
あやうくパドックへの道を間違えそうになりながら, なんとか到着. すでに パドックでは調整を始めているクルマがあちらこちらに. 受付時間はとっく に過ぎているのですが, 事務所の方ではまだ準備の真最中. 「もうすぐ始め ますから〜」 パドックで荷物を下ろしていると, 「受付やってるよ〜!」 あー なんて忙しい. 受付して, ゼッケンと計測器をもらいます. ゼッケン2番. これはやっぱ申し込み順ですかね.
うれしいことに, ピットが使えるということなので, すでに入っていた石川さ んの隣にうちもクルマを入れます. ゼッケン張って, テーピングして… おりょ, ところで石川さんのクルマは何やってんですか? なんかすごい, 配線がスパ ゲッティ状態なんですけど… (結局石川カプは予選開始ぎりぎりまでクルマの 調整をされておられました.)

そうこうしているうちに予選開始. でも, 計測するわけでもなく, ぢゃあ決 勝のグリッドはとうやって決めるんだろうと思っていると,
「スタートはペースカー先導のローリングスタート, 順番は早い者勝ち」だと いう. うちのチームはダンナ以外は混走初心者なので, 「もしゼッケン順の グリッドスタートならダンナが最初, ローリングスタートならかずが最初で後 ろのほうから行けばいい」ということにしていたのだけれど, 「どーしよう」 「行け!」というわけで慌ててクルマに乗り込みスタート地点へ. すでに前 の方には何台も並んでおり, ちょーど真ん中へんかな. ちょうどいいや. 遅 いクルマは右側走行なので, 右側についてっと.
やれやれ. と, ほっとする暇もなく, 前のほうからクルマがピットレーンに 入っていきます. うわ〜, いよいよだ, どーしよう. でもここまで来てしまっ たら後戻りは出来ないので, 前に進むしかありません. ダンナとこばやしさ んの見送りを受けて… と書くとカッコはいいですが, 心臓どきどき, 汗たら たらであります. ピットレーンからコースに入り… あ, でも, 思ったほど怖 くないね. ま, ペースカー入ってるしね. みんなゆっくりだし. ゆっくり だし… ん? ちょっと, 前のクルマ, ゆっくり過ぎんじゃねーの??? 1コー ナーを無事通過したと思ったら, なんだか前をゆくクルマ (オレンジ色の昔の ホンダZ) の様子が変です. あまりにもゆっくりすぎて, 先のクルマとの間 がどんどん開いていく. え〜, ちょっと, どーしたらいいの, こーゆーの…! だってまだオープニングラップだよ, ペースカー入ってるのに, 抜いちゃって いいの?でもこのまま後ついてったら後続のクルマもえらいことになりそうだ し…
観念して, 4番ポストの手前あたりで抜きました. とたんに後ろも来るわ来 るわ. すでにその前をゆくクルマは 100R を回って姿が見えなくなっていま す. こっちは追いかけるのに必死です. まだコースもよく把握しとらんっつー のに, こんなことさせんでくれ〜!この状況を知らなかったダンナと山崎さん は, ヘアピンで見ていて冷や汗もんだったそうですが, こっちだって必死だっ たのよ! (ちなみにこの遅かったクルマは, 次に回って来たときにはヘアピン 手前6番ポスト近くの草の上で終わっておられました.)

それでも, 3周目あたりになると, そろそろ集団もばらけてきて, 速いやつは がんがんブチ抜いていってくれるので, コース上にも隙間が出来, 周りを多少 見回す余裕も出てきました. 「遅い車は右側通行」なんて言われていたけど, だれもそんなこと気にしていません. 最初はおとなしくヘアピンをアウト側 ベタベタで走って, シケインも右側通行していた私ですが, とても言われたと おり走っていたんじゃやってらんない, ということに気づき, みんなの真似を して, ラインを取りながら走る方向に変更しました. それでも速いのが来る とこわいので, そのときだけはしっかり右によけ (よけそこなってふらついて しまい, 後ろにいた斉藤さんに迷惑をかけてしまったこともありましたが), 前をゆく速い車のラインを真似してみたりしているうちに, だんだん調子が出 てきました. 周回のペースも上がってきて, ホームストレート上の時計が, 最初は戻ってくると3分以上経っていたのが, そのうち2分台になり, ストレー トもめいっぱい踏み込めるようになり (でもさすがに1コーナーのつっこみだ けは最後まで怖くて, 早いうちからアクセルを放してしまっていました) 何と なくそれっぽい (?) かっこだけはつけられるようになってきました.

当初の予定では私はまず 30分でダンナと交代, ということになっていたので, 時計を見ながらそろそろピットインせねば… あれ!? ピットの入り口どこだっ け? それより, 確かピットインするときは最終コーナーの立ち上がりからイ ンベタでウインカーださなきゃいけないんじゃなかったけ. あ, ひょっとし て, あの矢印がピットの入り口!? わー, もう間にあわねー! (これだからシ ロートは困る…) 実際それまで, ホームストレートを走り抜ける間も, コント ロールライン上の時計とお尻に響く振動は意識出来たのですが (結構波打って るんですよね, ホームストレート) , それ以外の物は意識する暇がない. 壁 に張り付いて手を振ってくれていた人には (もしいたら) 申し訳ないですが, 全然見えていませんでした. そんなわけで, ピットにはいりそこねて2周ほ ど余計に回ってしまい, 結局 40分近く走ってしまいました. どっちにしろ, この辺が体力的にも限界だったようで.

その後しばらくは, ピットに敷いたシートの上でひっくり返ってしまいました. コンクリートの冷たさが, 背中から心地よく伝わってきます. 高々40分でこ れなんだから, F-1 とか GT とか, ましてやル・マンのレーサーなんてすごい よねー, って, 彼らはプロなんだから, それが仕事なんだから, 当然かもしれ ないけれど, 改めて, 感動. それと同時に, 「私ももっと体力つけなきゃ」 う〜ん, 実感.

そんなことしてるうちに, 早くも2回目の出走が回ってきました. 時間の経 つのが本当に早い. 今度はコースもわかっているし, さっきよりは落ち着い て出られると思うけど, ピットレーンからの合流という大問題があるんだよな. ピットレーン内は 60km/h 制限だから, 無理な加速はしないで, 回りをよく見 て, 人間を轢かないように注意して, 合流は高速道路と同じはずだから (って のは無茶?) 後ろをよく見て, そのままインベタで1コーナーへ入って, と. ふう, なんとかコースに入れました.
ふと見ると, サントリーコーナーの先に, こちらを向いて終わってらっしゃる 白いワークスが1台. ああはなりたくないよなー, と思いつつ, 100R を抜け ヘアピンへ. 2走目ともなると慣れてきたせいかだいぶ欲も出てきて, もっ と踏んでもいけるかな, とか, あ, こいつ抜けるかな, とかずーずーしくも考 えるようになって (そーするといきなりブチ抜かれていったりするんだが). 最終コーナー前のシケインに, フルブレーキで突っ込んだ後, 「オラー, がん ばれー!」と床まで目一杯踏み込んで, ストレートへ全開で入っていけた時の 爽快感. うーん, 気持ちいい. これでお尻さえ痛くなけりゃ. (実際, ここ での振動は結構不安をあおるもので, 結局私はストレートエンドで150km/hま でしか出せませんでした.)

それでも2走目はしっかり, というかきっちり 40分走り抜き, 最後の方では 「もっと走りたいな〜」などと, 贅沢なことまで考えるようになっていました. うん. 面白かったですよ, 実際. 怖かったのも事実だけれども. 何という か, 自分が「走れる」という自信 (?) みたいなものが, 周回を重ねるごとに 実感できて, 久々に手応えのあることをやった充実感がありました. 走るっ て面白い, もっともっといろんなとこを走りたい, という, これまでの私なら 思いもしなかった気持ちが自分の中にわき上がってきて, そんな自分が自分で も不思議なほどでしたが, とにかく, この走行会に参加したことが, 私の中に 何かを呼び起こしてしまったようです.

実際, いきおいで参加を決めてしまったものの, よくよく考えたら「私は何て 事をしてしまったんだろう」と, 自分がこれからしようとしていることのあま りの大きさに, すっかり怖くなってしまったのは事実です. これまで走った ことがあるのは某自動車メーカー主催のジムカーナもどき2回, 成田を自分の ロゴで1回, あとはすべて見学ぢゃなかったかしらん. もちろん混走レース の経験も無し. そんな私が, いくら軽自動車だけとはいえ 60台もの混走レー ス, しかもインターナショナルサーキットなんて走れるんだろうか. 4時間 耐久なんて耐えられるんだろうか. 最初は本気で降りようと思いました. す るとダンナがぽつりと, 「でもさ, かず鈴鹿走ってるんだよね. カルガモ走 行かもしれないけど, 鈴鹿走ったことがあるのって, かずだけなんだよね」 そうか, そんなことがあったっけ. あの時も, 苦労しながら, 一番最後から, ひーこら言いながら, でも鈴鹿のフルコース走ったんだよな, 私. 1周5分 もかかったけど, 30分間走り抜けられたんだよな. そう思ったら, ちょっと だけ気が楽になりました. だからといってビビッターがはずれたわけでは決 してなかったのですが, それからは, ダンナがうるさがるのを物ともせず, 「混走レースってどーやったらいいの?」といったバカみたいに初歩的なとこ ろから, 「コーナーで滑っちゃったらどーすんの?」「他の車をよけ損ねて回っ ちゃったらどーしたらいい?」等々毎日のように質問を繰り返して最低限の知 識を頭にたたき込み, 某 TV の深夜番組でヒロミがアルテッツアで FISCO を 走るという (これは GT の前座レースだったのですが) やつをしっかりビデオ 撮りしてコースのお勉強をし (でも余り参考にはならなかった), あとは途中 で回らないことと1コーナーで刺さらないことをお祈りしながら走るしかない ね, と. 「回りをよく見ること, 旗をちゃんとみること, あとは… エンジン が終わっちゃったらクルマを置いてとにかく安全な場所に逃げること, そうす れば誰かが気付いて助けに来てくれるハズだから」 (ホントかいな, 富士のオ フィシャルはあんまり信用できんからな. なんて書くとおこられちゃうかし らん.) 「ブレーキが終わっちゃったら… 何とかがんばって走って」 なんつー いい加減な監督 (うちのダンナ), でもそれしかないんですよね. 最後は.

ともかく何事も起こらずに無事に完走出来, 結果も参加車両 53台 (内完走 44 台) 中 27位とまずまずだったので一安心. 「かず2走目結構いいタイム出し てたよ. 2分34秒とか」ダンナに褒められてちょっといい気分. でも何より 嬉しかったのは, 自分が一緒に走る人たちの仲間に入れたという, そのことだっ たんじゃないかなと思います.
これまで, 私は自分で自分にビビッターを掛けるという持ち前の特技 (?) も 手伝って, なかなかみなさんの中に入っていけませんでした. 成田に行って も一歩離れたところから見ている, そんな距離感が常にありました. それが 今回の走行会で全部吹き飛んでしまった気がします. 私も仲間の一人になれ た (と勝手に思い込んでいるだけかもしれませんが) と同時に, 走ることの面 白さがやっと本当にわかったという気がして, それがこの走行会をより印象深 いものにしたのかもしれません.

レースの最後にみんなで撮った写真, みんないい顔してます. カプチーノの 石川さん, 齊藤さん, 山崎さん, クラス優勝おめでとう. 石川さん, これで やっとクルマだけじゃなく顔も載せてもらえますね. (しかしこのカプにはいっ たい何回抜かれたことか…) 鷺山さん, こんどはうちのダンナが監督になって “チーム姫”を作るか, なんて言ってるから, 次は一緒に走りましょう. こ ばやしさん&祐子さん, いろいろとありがとうございました. 特に祐子さん の細やかなお気遣いには, 本当に感謝の気持ちでいっぱいです. おかげでと ても楽しい時間が過ごせました. それから竹下さん, タイヤいっぱい積んで きて貰ってどうもすみません. 結局 today には使わなかったけど, そのうち ロゴに付けてみようかと言う話もちらほら. またダンナとすったもんだ, やっ てください. (ところで, カプチにはいつ乗せてもらえるんでせうか?)

等々, いろいろとしゃべりまくりましたが, これからは私ももっと積極的にい ろんなイベントに首を突っ込んでいくに違いありません. そのときは, どう ぞお手柔らかにお願いします. (手始めに, まずダンナをブチ抜かないと行け ないのか… むぅう…)

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