97年 12月に, 成田モーターランドで行なわれた走行会に, いつものように Today 550cc で参加しました. コースはなかなか楽しかったのですが, 気がつ くと走行終了後に排気管から青白い煙が立ちのぼっています (泣).

ここでエンジンをあきらめて車ごと買い替え, という考え方もある (というか, それが普通じゃないかと :-) ) のですが, いい機会ですので (どこが? > おれ) 修理してみることにしました. 「エンジンはどこまで直せるか」の実験 みたいなものです.

註: パソコン廃人界 (?) で言うところの「人柱」ってやつです :-).

さて.

問題の青白い煙について, ホンダプラザ荒川沖店 (プリモ系) で相談.

サービスのお兄ちゃん: やっぱオイルでしょうから, バルブステムシールとピ ストンリングで 15 万円ですね.

私: えっ? それって, オイル上がりとオイル下がりと, 両方直すってこと?

お兄ちゃん: そうです. 車齢のことを考えると, 一遍に直してしまった方がよ ろしいかと.

私: ふーん... まあいいですけど, それってほとんどオーバーホールでしょ. そこまでやるんだったらオーバーホールして欲しいなぁ. いくらかかります?

お兄ちゃん: それだと 17 万円くらいですか.

私: じゃそれでやって下さい. ついでに, 運転席側のシートがへたへたにへたっ ているから, それも交換ということで...

これで商談成立. ところが...

お兄ちゃん: お客さん, オーバーホールしても煙の方は直らないかも知れませ んので, そこのところはよろしく...

私: ??? 直してくれるんじゃないの?

お兄ちゃん: それはそうなんですけど, お客さんみたいにコース走ったりジム カーナしたりすると, やっぱり壊れますから... そもそも, そういうエン ジンじゃないんですよ.

ここで,

「何いっとるんじゃ, 俺はメーターの 1 とか 2 とか (で, 各ギ アのカバーする範囲が) 書いてあるところ以上に回したことは(ほとんど :-) ) ないし, それにこれを売り出したときには『ハイパー 12 バルブでスポーティー な走り』とか言っとらんかったか? どないなっとるんじゃ?」
と, 思いっきり突っ込みを入れればいいのですが, その時このお兄ちゃんはた ぶん中学生で, その時のホンダの軽自動車の宣伝文句なんて覚えていないだろ うなぁ, ああ, 昭和は遠くなりにけりだなぁ, と思って止めておきました. ただこの時点で, 店とメカニックの評価格付けを「信用できる」から「通常整 備程度なら信用できる」に落としています.

註: ちなみにそれ以下のランクは「使えなくもない」と「自分で やった方がマシ」でしょうか (笑).

そして2週間後...
請求書がやって来ました (もちろん車も).

まず, オーバーホールそのもの.

	エンジンオーバーホール (工賃) 68,600
	バルブ脱着 (工賃)             17,500
	バルブシート加工 (工賃)       24,000
	エンジンマウント (3点)        8,000
	キャブレターインシュレーター     720
	オイルシール (いろいろ)        1,450
	ガスケットキット               9,900
	バルブステムシール             2,880
	バルブ (吸気, 排気)           17,100
	O リング(いろいろ)               560
	オイルストレーナーパッキン       115
	ウオーターアッパーホース         660
	ピストンリングセット           1,900
	ディストリビューター          28,000
	エンジンオイル                 1,500
	オイルフィルター               1,150
	ラジエター液                   2,000
	ギアミッションオイル           1,530
	フロン CFC12 (補充)            5,000
	------------------------------------
	ここまで小計                 192,565
	------------------------------------
エンジンマウントは普通は再利用するそうですが, 雑誌を見ると大抵「換えた 方がいい」ということになっているので, 換えてみました. 効果は... 良くわ かりません (苦笑). これの交換については, ディーラーのメカニックに判断 を任せていいのではないかと思います. 「もののついで」とか「安心料」で替 えるのでしたら止めませんが.

註: ホントに駄目になると, エンジンが脱走 (笑) するんだそう ですが, 普通の使い方ではそうなるまでにはずいぶん時間がかかるような気が します.
ディストリビューターは軸が錆びていて, かつ偏心していると言われまし た. 偏心というよりは, ポイント (なのかな?) の軸からの距離が不揃いになっ ている, という感じがします (つまり, 軸の位置がずれたか, もしくはポイン トの位置がずれた). Web のどこかで「ビートのディストリビュータは弱い」 という記事を読んだこともあって, ひょっとしたら Today のも弱いんじゃな いかな, と疑っています. 「錆びる」ということは「水が入る」ということで しょうし, 電気系に水が入るというのは, 普通「欠陥」って呼ぶんじゃあない かなぁ...

補足(98/5/23): これについて, 昔の同僚の W氏からメールを頂 きました. W氏は錆の発生原因について「ディストリビュータ内ではポイント から飛ぶ火花によってオゾンが発生, それにより内部金属部品は錆びやすい状 況にあるのではないか」と推測しています. さて, 真相は?
「どうせエンジン開けるんだったら, タイミングベルトも交換しちゃおうかなぁ, 開けなくったってできるんだろうけど, ついでだから」ということで, タイミ ングベルト交換もしてもらいました.

	タイミングベルトキット         3,000
	タイミングベルトテンショナー   2,900
	タイミングベルトアイドラー     2,900
	ウオーターポンプ               6,400
	ヘッドカバーワッシャー           540
	マウンティングラバー             320
	AC ジェネレーターベルト        1,100
	コンプレッサーベルト           1,450
	------------------------------------
	ここまで小計                  18,610
	------------------------------------
後であるプロのエンジンチューナーの方 (お名前は伏せておきます) に伺った ところ,この時期の軽自動車のウオーターポンプ, 特にホンダのそれは弱いの だそうで, 交換するのがお勧めだそうです. ただ, どういうふうに弱いのかは 訊くのを忘れてしまいました.

外した方のタイミングベルトを見せてもらいましたが, 伸びはともかく, 亀裂 とか歯飛びの兆候とかはないようにみえました. 本当に 10 万キロ持つんでしょ うかね. やっぱり.
それに比べて, ACジェネレーターベルトとコンプレッサーベルトはちょっと ヤバそうにみえました.

	クッション                    20,100
	シートバック                  21,100
	ヘッドレストASSY               6,600
	ヘッドレストカバー/キャップ     340
	工賃                           4,900
	------------------------------------
	ここまで小計                  53,040
	------------------------------------
Today のシートはクッションだけ替えられるみたいですね. そうと知っていた ら, ヘッドレストなんか替えなかったのに... もっとも, Today のシートは新 品状態でも決して座り心地のいいシートではない (面の張りが弱く, 座面が小 さい) ので, クッションを取り替えるつもりならさっさと RECARO にしてしま う方が良いかも知れません. 4倍くらいお金がかかるでしょうが...

サービスのおじさん: ...あと, 今エンジンだけ新車みたいな状態ですから, ならし運転の方はよろしくお願いします.

私: はぁ...

レース用エンジンで, クリアランス管理をきっちりやっていればこんなことは 気にしなくても良い (場合もある) そうですが, ディーラー修理程度では流石 にそういう訳にはいかないようです. そういえば, 「最近の新車のエンジンは 出荷時にレッドゾーンまで回しているから, ならし運転をやっても無駄」とい う話があったように思いますが, オーバーホールの場合はどうなんでしょう?


これを書いている時点でオーバーホール終了から約 3ヶ月経っています. この間に気付いたことをまとめると;

良くなったところ
低速トルクが出るようになった.
煙は出にくくなった.
悪くなったところ
どこかでリンギングしている (泣).
その他
クラッチも交換しておけば良かった (苦笑).
低速トルクについては, 今までよりもずいぶんと出ているような気がしま す. それと関係があるのかどうか, 今まで 4速 40km/h あたりでエンジンから 「チリチリ...」という音がしていたのですが, そういうことはなくなりまし た. たぶん点火系か, あるいはタイミングベルトの交換が効いているのではな いかと思います.

元々の問題だったオイルの煙は出にくくなったような気がしますが, これにつ いてはまだ評価中です. 次に成田モーターランド (もしくはどこかのサーキッ ト) に行った時に考えようかと思います.

オーバーホール後, エンジンルームのどこかからリンギング音 (ギーンという 音) がするようになりました. これは特定の条件のみで発生するようで,ディー ラーで再現しなかったため対策できていません (泣). 以前アルトに乗ってい た時にこういうことがあったのですが, その時はメインのプーリー (クランク シャフトについているもの) を止めているナットが緩んでいたせいでした. 今回もこれか, それとも排気管を止めているあたりかな...

クラッチは交換しなかったのですが, それが不安要素となっています (そのう ち無くなってしまうのではないかと...). やはり交換してしまえば良かったと 思います.

そんな訳で, 今回のオーバーホールは 80点といったところです. 次はサスペ ンション回りでしょうか (笑).

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