究極と至高(1)

モールトン博士の自転車は、「究極の小径車」といわれることがある。

言っているメンツには、やけに売り手サイドの方が多いような気がするので、あんまり気にしない方が良いのかもしれない(笑)。とは言うものの、設計をみていると「小径車はどうあるべきか」を考え抜いていることがよくわかるので、「これが究極」と言われれば、そうかもしれないとは思う。

しかし、ここで一つ問題がある。「究極の小径車」というからには「小径車」の中では「究極」なのだろうが(当たり前)、比較の対象を「自転車」まで広げたときにはどうなのだろう。

モールトン自転車のファンに言わせると

もちろん、どんな自転車と比べても同等以上。だって最高速度世界記録はモールトン自転車が持っているからね。レース?それがさ、性能が凄すぎて、レギュレーションで締め出し食らっちゃってさ…

とまぁ、そんな感じで自慢されるに違いない(ので、あえて聞かない)。しかし肝心の御本尊は、大径の、セイフティ型自転車を「クラシック・バイク」と呼ぶという。ここで気を付けなければいけないのは、「クラシック」という単語には「古典的」という意味の他に、「至高の」という意味があることである。博士の言うところの「クラシック」とは、「至高の」という意味ではないのか?もしそうだとすると、究極と至高では、どっちが凄いのか?

それを知るためには、結局のところ、大径車に乗ってみないといけない。乗らずに語ることはできない。そう思って探してみる。某店ではジャイアントのコンフォート系のカーボン製ロードを勧められた。が、これは「吊し」で、サイズの選択肢は3種類しかないし、パーツも謎な選択がされている(と、当時は思っていた)。スローピングフレームなのでサイズの問題はクリアできるけれど、「至高」というよりはどことなく「妥協」の匂いがする。別の某店でカーボン・ロードをフルオーダーすれば、間違いなく「至高」なのだけれど、値段も至高なのでカンベンして欲しい。

と、市内の某々店で、クロモリのオーダー車を作ってくれるという。店に行ってオヤジと話してみると、イイ感じで偏っている(笑)。気分が出てきたぜゼ。

そこで、オヤジにオススメを聞いてみる。条件としては

  1. サイクリングに使う
  2. BSMよりも遠くまで走れる
  3. BSMよりも坂に強い

の3つだけ。オヤジが答えて言うには、

ソレだったら間違いなくウチのランドナーがオススメなんだけど、最近はパーツが減ってきてるから、(ウチの)スポルティーフの方が良いかも。

とのこと。違いはタイヤサイズだけのような気がするのだけれど(細かいことは知らない)、とにかくオススメ通りランドナーを作ってもらうことにした。

股下を測ってフレームサイズを決め、色見本から色を選んで、あとはおまかせでお願いする。つまりイージーオーダーといったところ。細かいオーダーを出せるほどは自転車のことを知らないので、これはこれで助かる。「至高」かどうかは、ちょっと置いておくとして…

そして3ヶ月。

とある雨上がりの日、めでたく納車される。

ランドナー

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