イコライザー

ケンウッドのフラッシュメモリ音楽プレーヤー M1GA3 を使っていて不満に思う点の一つは、イコライザーを使わない状態ではボーカルが引っ込んで聞こえることである。イコライザーがあるのだからもちろんそれを使えばよいのだが、プリセット設定を使うと音がどうなるのかについては、説明書にも Web サイトにも記載がないようである。記載なんか無くても音で判断すればよいのだが、ホロビッツのピアノを聴くのにクラシック設定ではなくポップス設定を使い、しかもそれが結構ハマっていると感じたりすると、自分の感性に自信がもてなくなるのである(笑)。前回のノイズの件で WaveSpectra と WaveGene をいじっているうちに、イコライザー設定の効果を測定出来ることに気が付いたので、今回はその結果を報告する。

WaveGene で 20Hz から 20kHz までのスイープ信号を作成して、LAME で 320kbps CBR の MP3 にする。これを M1GA3 で再生して、イヤホン端子の出力をパソコンのマイク入力に入れ、WaveSpectra で解析する。つまり、イヤホンそのものは測定されていないことに注意して欲しい。

まずノーマル設定である。思っていたよりもフラットな特性で少し驚いた。聞いた感じ、もう少しハイ上がりではないかと疑っていた。筆者の耳も、いよいよヤキがまわってきたようである(だから、筆者が書く感想については参考にしない方が良い ^^;)。

ノーマル

次はロック設定である。もちろんドンシャリである。

ロック

次はジャズ設定である。ロックほど極端ではないが、やはりドンシャリである。ジャズにだってボーカルはあるだろうと思うのだが、それは無視なのだろうか。

ジャズ

次がクラシック設定である。ハイ下がりである。どこかの指揮者(小澤征爾だったか?)が、「指揮者がせっかく音を混ぜよう、混ぜようとしているのに、オーディオマニアは音を分けよう、分けようと努力している」とぼやいたそうである。周波数が高い領域は音色を決めているので、ハイ下がりにすることで楽器間の音色の違いがわかりにくくなるのかもしれない。

クラシック

ポップス設定である。ボーカルを強調しまくりである。見方によってはハイ&ロー下がりとも言える。これで音量を下げると、低周波域以外はクラシック設定に近くなるんじゃないかという気もする。

ポップス

M1GA3 にはイコライザーでカスタム設定ができる。周波数の分割は 62Hz、250Hz、1kHz、4kHz、16kHz の5段階で、それぞれ +14 から -14 まで、14段階(つまり1きざみでレベルは2)のレベル調整ができる。次の図はすべてを+14にしたときの結果である。

カスタム(すべて +14)

そして、次の図がすべてを -14 にしたときの結果である。プラス側はそうでもないが、マイナス側はずいぶん特性が暴れている。周波数の分割と特性の谷も、なぜか合っていないようである。

カスタム(すべて -14)

M1GA3 にはイコライザー以外にバスブースト機能もある。次の図はイコライザーをノーマル設定として、バスブーストをかけたものである。バスブーストと言いながらずいぶん高い周波数を上げているし、もしかしたらカスタム設定の 62Hz のところを +14 した方が、より低い周波数をブーストするような気がするが、気のせいだろうか。あるいは、バスブーストで狙う楽器がちょうどこのあたりの周波数なのだろうか。

バスブースト

今回は研究報告であるから、オチは無い ^^;

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