モールトンミーティング

軽井沢で開催されたモールトン(式)自転車のオーナーズ・ミーティングに参加した。

そもそも筆者は特定車種とか、特定製品とかのオーナーズ・ミーティングなどというものが好きではない。以前参加したクルマ(車種は秘す)のオーナーズ・ミーティングが、あまりにツマラナカッタのが原因である。何しろそのクルマのことしか話さないのだから、新たな発見もなければ別の発想にぶち当たることもない。そんなぬるま湯のような会合に何の意味があるのか全くわからなかったし、今もわからない。

にもかかわらずモールトンミーティングに参加したのは、このサイトではもはやおなじみの酔猫庵氏が

あのミーティングはとんでもなくハイソでセレブな雰囲気でワタクシには全く合わないのですが、もし興味がおありならご一緒に行きませんか。

と誘ってくださったからである。たかが自転車に100万円以上のお金を払う人がゴロゴロいる会合などというものは、そう滅多に参加できるものではない。マン・ウォッチングの対象としては、面白かろうということになった。なお、ついでながら、酔猫庵氏も筆者自身も、もちろんゴロゴロの中には入ってはいない。

ミーティングの様子は 主催者のサイトここ とか ここ とかにあるので、そちらで見て欲しい。本稿では、主に参加した感想を述べる。

日程(プログラムより)

10月28日
13:00〜 受付
14:00〜16:00 軽井沢市街散策
18:00〜20:30 パーティー
10月29日
〜09:00 朝食
10:00〜14:30 御代田方面へ走行会、または軽井沢郊外散策
14:30〜15:00 懇親会

会場

軽井沢周辺。宿泊はコッツウォルホテル軽井沢、または軽井沢プリンスホテル。

筆者は軽井沢には何回か行ったことがあるが、この時期の軽井沢は場所さえ選べばサイクリングを楽しめるから良いと思う。今回、紅葉には少しだけ早かったが、これは自然相手の話なので仕方がない。また、欲を言えば見晴台の雰囲気が好きなのだけれども、後で調べたところそのあたりはサイクリング禁止(急坂のため)であったから、これも仕方ないだろう。

問題なのは、コースの中に旧軽銀座を入れていることである。いくら自転車を押して歩くとはいえ、20人を越える団体が自転車ごと旧軽銀座をウロウロするのは無理である。このあたりの観光地、つまり三笠ホテル、ショーハウス、万平ホテルあたりを回ろうとすれば仕方ない話なのだが、そもそも自転車イベントに観光地めぐりは必要なのだろうか?

参加者は全部でおよそ50人くらいだと思う。散策等ではグループを2つに分けていて、1グループがだいたい25人ぐらいだった。参加者については後で触れる。

ホテル前にて

主催者

本稿は元々、もっと穏当な物になるはずだった(笑)。いくらなんでも現場で主催者やら参加者やらにいい顔をしておいて、自分のサイトで(運営もあわせて)批判するのは卑怯だろうと思っていた。その考えを変えたのは、主催者が自分のサイトでの レポート で参加者への批判ともとれるようなことを書いていたためである(主催者はそんなことを書いたつもりではないかもしれないので、「批判ともとれる」としておく)。

なるほど、軽井沢まで来て三笠ホテルやショーハウスにまるで興味がないというのは、筆者もどうかとは思う。しかし筆者の見るところ、そうなってしまった原因は大きく分けて2つあるように思う。1つ目は、「希望者は見学してきて良いですよ」という案内の仕方である。約20人の団体で来ているのだから、各参加者にも「集団を壊してはいけない」という意識が働いていたはずである。団体全部が見学に行くわけではなく、出発時刻も見学の所要時間も伝えられない状況で、見学に行ってしまうのはアホである。この理由だったとすれば、今回の参加者はお行儀が良かったと言うべきであって、主催者としては感謝すべきである。

もう1つの理由があるとすれば、「建物なんかよりは自転車を見ていた方が、しあわせ」ってことだろう :-)。その点では、主催者の観察も当たっているところはある。

前者の理由だとすれば、主催者は運営について反省すべきである。後者の理由だとすれば、主催者としては企画について反省すべきであろう。どちらもなく、単に参加者を批判するような態度をとるのであれば、おそらくそれが許されるイベントなのであろう。それならば筆者としても思う存分批判させていただけるだろうから、かえって好都合なのかもしれない。

三笠ホテルの前にて

主催者2

どういうわけか、今回のイベントはモノがらみの話が多かったように感じる。まず受付でイベント記念マグカップを渡されたが、これ自体はまぁ良かろう。しかし、生産ロットの最低数量条件を満たしたせいで、120個もあまりが出たというのはどうなんだろうか。

次がイベント記念 iPod である。マグカップと同じロゴが入るそうである。これはさすがに希望者のみということだったが、なぜ自転車イベントの、「2006 Karuizawa」とまで彫り込まれている iPod が欲しくなるのか、筆者にはよくわからない。

その次が抽選会である。なるほど、イベントで抽選会があれば盛り上がるだろう。しかし、賞品ご提供は各地モールトン自転車取り扱い店様とのことである。たかだか客が勝手にやっているイベントで、そんなにホイホイご提供下さるモノなのだろうか。単に、ハイソでセレブな世界は、筆者の想像を超えているだけなのだろうか。

最後がオーナーズクラブの特典である。11月から正式に(組織として?)オーナーズクラブを立ち上げるそうで、今回の主催者が発起人らしい。それはどうでも良いのだが、クラブに入っていただくためには、それなりの特典が必要だろうと言う。内容については現在交渉中ということなので筆者もここに書くことは出来ないのだが、おおざっぱに言うとホテルの宿泊代金割り引きとかパソコン購入時の割り引きとか、そういうものらしい。自転車のクラブの特典でなんでパソコンが安く買えるのか、筆者には関係と必要性が全く思いつかない。

このイベントは「自転車を持ち寄って、乗る」というのが目的の筈である。その裏側にあるものは、自転車への愛情と、皆で走ることの愉しみであるべきだと思う。主催者にはそれに加えて参加者に対する敬意があって当然と思うのだが、このイベントと主催者の場合、少々事情が異なるような気がする。

参加者

年齢層としては、たぶん30才直前くらいから50代中頃、といった感じであろう。何となくではあるが、いわゆるバブル世代が多いような気がする。これは、筆者がその年代だからかもしれない。男女比は9対1ぐらいだろうか。数えたわけではないのでよくわからない。

参加者同士で話をする機会は走行会中やパーティー等かなりあったのだが、内容がモールトン自転車のことだけなので全然面白くない。酔猫庵氏が前回参加された際も事情は同じだったらしく、ずいぶん疎外感を味わったようである。酔猫庵氏は疎外感の原因を社会的階層に求め、「ハイソでセレブな人とは話が合わない」と表現されていたが、筆者の考えは違う。筆者の認識では、ハイソでセレブなパーティーというものは、仕事関係のパーティーなら仕事の話は禁止、ゴルフの集まりならゴルフの話は禁止、出版記念パーティーなら著者と本の話は禁止という、一種つらい修行の場なのである。モールトンの集まりでモールトンの話をしても良い、というか、その話しかしないというのは、ハイソでもなければセレブでもない。

第一、「モールトンの話」の内容自体、半分はフレームやら完成車やらの話で、残りの半分がパーツとパーツメーカーの話である。前半はどことなく競馬馬の血統の話に似たところがある。後半はもう、間違いなく自動車のオプションパーツの話にそっくりである。つまるところ、この人たちの話はハイソでセレブというよりは、つつましくいじましいと言う方が近いと思う。

考えてみればこれは当たり前である。確かにモールトン自転車は、自転車としてはとてつもない値段である。が、自動車と比較すれば、車両もパーツも同じような値段か、むしろ安い。だから、自動車にお金をかけられるオプション(雑誌)読者が自動車をあきらめれば、モールトン自転車の一台や二台はすぐ買えるはずである。従って、オプション読者とモールトン所有者の懐具合がほぼ同程度であっても、そんなにおかしな話ではない。ところでオプション読者には、一体どれくらいの割合でハイソでセレブな方が含まれているのだろうか?

「モールトン所有者はハイソでセレブ」というのは幻想にすぎないと、筆者は思う。

モールトン自転車大集合@ホテルのロビー

まとめ

というわけで、筆者の期待に反してあまりハイソでセレブな会ではなかったし、残念ながら運営には少々疑問は残ったが、軽井沢周辺を自転車で走れたのは楽しかったし、良かったと思う。結局のところ、筆者は自転車で走るのが好きなのであって、自転車に乗ってしまえばつまらないことは半分ぐらいは忘れられるから、ここまで書いてきたようなことは現場ではあまり気にはならなかった。我ながら得な性格である(笑)。

TOP に戻る

2006 Copyright (C) Hajime Tsuchiya. All rights reserved.