美と実用

ブリヂストン・モールトンに乗っていて気が付いたのですが,標準仕様のリアキャリアは,あまり実用性がありません.というのは,リアキャリアが低くてペダルに近い位置にあるために,キャリアより幅の広いモノを載せると,かかとで荷物を蹴り上げることになってしまいます.

昔のモールトン(シリーズ1)の写真を見ると,リアキャリアの高さは今と変わりないようですが,ずいぶん後ろの方にずらされています.つまり,BSM のキャリアは後輪の車軸のに荷物が載るようになっていますが,シリーズ1のキャリアは後輪の車軸のに荷物を載せるようにできています.確かにこの位置であれば,荷台にバスケットや革バッグを載せても,蹴り上げずにすみそうです.

BSM にも同じようなリアキャリアと,そのキャリアに付ける革バッグが,純正オプションで用意されています.ただ困ったことに,標準キャリアがボディ同色なのに対して,このリアキャリアは全体がアルミの素材色(銀色)になっています.つまり,交換してしまうと,これが,非常に美しくない(笑).それでしばらくためらっていたのですが,おつかいの買い物をレジ袋に入れて,そのレジ袋が荷台に載らなくて,かといってなまもの(鶏むね肉)なのでディパックに背負うこともできず,窮余の一策としてサドルレールからぶら下げた5月のある日,一念発起してリアキャリアと革バッグ,両方買うことにしました.

標準キャリア装着時標準リアキャリア.荷台はリアハブの前.

オプションキャリア装着時オプションのリアキャリア.荷台はリアハブの上.

自転車屋さんに取り寄せてもらっても良かったのですが,今回は研究のため(?)にブリヂストン自転車のネット通販を利用してみました.ゴールデンウィークあけぐらいに注文して到着が5月12日.リアキャリアは難なく交換し,さて革バッグを取り付けよう…というところで問題発生.

外れたスナップ1スナップの受け側がついてきてしまった.

外れたスナップ2本当は受け側はバッグ本体に残らなければいけない.

このバッグはスナップ6個でキャリアに装着するようになっているのですが,そのうちの1つを外そうとしたら,受け側がついてきてしまいました.どうやら受け側のカシメがうまくいっていなかったようです.

翌日ブリヂストン自転車に添付ファイル付きでメールすると,丁寧な謝罪の言葉と,交換するので(着払いで)送り返して欲しい旨,返信がありました.早速送り返して待つこと2日.5月15日に代品到着.やれやれ…あれ?

カシメの甘いスナップカシメ不良(右半分)

やっぱり1つだけ,カシメの甘いスナップがあります.今回は力が掛かるのとは反対側が不良だったので,かろうじて受け側はバッグ側に残ったようです.が,カシメの甘い側を手で引っ張ると簡単に外れました (T_T)

もう一度ブリヂストンに送り返すことも考えたのですが,もっと簡単な解決方法を思いつきました.そう,メーカーが当てにならない場合は,自分でなおしてしまえば良いのです.考えてみると,アメリカで何かを買う場合には,結局自分で手を入れてからでないと使えないことが,ちょいちょいあります.たとえばシェラ・デザインのバックパック用テントは,決して悪い製品ではないのですが,縫い目はシールされていないので,ホームセンターでシリコーン・コーキング材を買ってきて塗り込まないと使えない,とか….そういう意味では,にっぽん国もだいぶアメリカ化してきたと思えば,まぁなんてことはないかな,と(そういう問題なのか? > おれ)

自分で取り付けたスナップスナップ部品と取り付け例.

そこで,筑波大学生の味方,ジョイフル本田 荒川沖店の,レザークラフトコーナーでスナップ(ジャンパーボタン大)とポンチを購入.スナップが10個入りで252円.ポンチが台とセットで614円.家に帰って木槌でカンカン.レザークラフトなんてやったことは全く無く,スナップを打つのも全く初めて(リベットなら…).なのでコツをつかむまでずいぶん苦労したというか,不良カシメの山を作りましたが ^^;;; どうやら7個目でカシメに成功.無事に修理が完了しました.元のスナップよりも微妙に弱いような気もしますが,たとえ外れてしまってももう一度カンカンやるだけの話なので,全然問題ありません.

装着例バッグを装着するとこんな感じ.

さて.

取り付けてじっくり眺めてみたのですが,デザインはやっぱりあまり好きになれそうにありません.シリーズ1の場合はフレーム補強用の斜めの棒がシートポストの後ろまで延びていて,荷台の部分だけが別体,別色のパーツとなっており,しかもそれが革バッグで見えにくくなるようにデザインされています.また,荷台を支えるステーも限界まで?簡略化されていて,見た目がすっきりしています.BSM のものはシートポストの直後から別パーツ,別色となっていますし,荷台上側にステーを張っていなかったり,あるいは荷台そのものの軽量化のために,下側のステーが遠くまで延び,本数も増えて,見た目はごちゃごちゃしています.

重さは標準キャリアが 360g に対してオプションキャリアは 890g.革バッグも結構な重さがありますが,空荷の時はフレーム補強部を持ち上げても,前後バランスはそこそことれています.荷物が入ると当然後ろ側が重くなるので,階段をかついで上がり下りするときには,持ち方に工夫が必要になります.

少しぐらい重い荷物を積んでもバランスはあまり崩れないので,運転はかなり楽です.これは,積んだ荷物の高さが低いことが効いていると思います.

バッグのふたとジッパー,ジッパーのタグふたとジッパー

バッグのふたはチャック(ジッパー)で閉じるようになっています.しかも,チャックが見えなくなるように,かぶせ蓋になっています.なので,チャックの開け閉めはかなりやりにくいです.開け閉めがやりやすいように?革のタグもついていますが,これはリングで取り付けられているので,下手な引っ張り方をするとリングが延びてタブが外れます(外れました).どうせならスナップでとめるようにするか,せめてかぶせの部分を1,2カ所,切っておいてくれればいいと思うのですが…

荷台を換えてもフレームの分割は可能ですが,純正輪行バッグには入りそうにありません.もちろん革バッグまで付けた状態では,どうしようもありません.

結論としては…とりあえず便利です.便利なんだけど,プロの仕事としては,デザインから生産管理まで,もうちょっと何とかならないのかとは,思います.

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