製品が壊れたとき、メーカーの底力が見えてくる


台所の蛍光灯(灯具)が壊れた。

本来ならスイッチの紐を一度引いて点灯、もう一度引いて消灯、つまり2回に1回点灯の筈が、6回に1回しか点灯しない。ロシアンルーレットである。中を開けてみると、プルスイッチの接点が折れたか、あるいは摩滅したかで、なくなっていた。

この蛍光灯は13年前、家の新築時に取り付けられたものである。しかし、製造元のオーヤマ照明、現オーデリック(株)のカタログには、今も載っているようだ。そこで、問題のスイッチだけ、部品で売っていただけませんかと尋ねたところ、代金420円を切手で送っていただければ販売致しますとのことであった。早速送ってもらい、壊れたスイッチと交換したところ、元通り2回に1回点灯するようになった。

送料が120円だったので、スイッチの値段は300円なのだろう。蛍光灯全体では、市価3千円ぐらいらしい。3千円で新しい蛍光灯を買ってくださいとは言わず、300円の部品をお売りしますので使って下さいと言ってくれたオーデリックには、素直に感謝したい。

蛍光灯


NHKラジオの英会話番組を録音するために、妻がA社のラジカセを買った。もう少し正確に言うと、買ったのは「S社に吸収合併されたA社ブランドのラジカセ」である。MDなしのラジカセに録音タイマーの付いた製品は、購入当時3種類しかなかった。このA社の製品はそれらのうちで最も安く、語学講座録音用としてある程度のヒットとなったそうである。

買ってから1年と1ヶ月ほど経ったある日、このラジカセの上にダンベルが載っていることに気が付いた。妻に聞くと、カセットの蓋のロックが効かなくなって、重いものを載せておかないと開いてしまうと言う。よく見ると、確かにロック用のピンが折れている。ABS製の蓋と一体成形された、いかにも折れそうな細いピンである。

電器店経由でメーカーに問い合わせて驚いた。まず、理由の説明がなかったのでなぜなのかはわからないが、とにかく修理はできないと言う。次に、この機種はもう生産中止になってしまい、A社製品で録音タイマー付きのラジカセはもう無いので、交換もできませんと言う。そして最後に、そうは言っても保証期間直後に壊れたのは問題であるから、購入代金をお返しいたします、とのことであった。

そして1週間後、本当に現金書留が送られてきた。商品はヘボであったが対応は立派なものである。だからこの文章も、A社とかS社とか言わずに実名を書く予定であった。そうならなかったのは、3ヶ月後にS社ブランドで売り出されたMDなし、録音タイマー付きのラジカセが、製品の形からいかにも折れそうなカセットの蓋のピンまで、A社ブランドで売られていたものとうり二つであったためである。どうやら、Sタイマーの伝統は立派に受け継がれているらしい。

妻はラジカセをあきらめ、サン電子のトークマスター(ラジオ・タイマー付きMP3レコーダー)を買った。録音したものをカーステで聞けないこと以外は、大満足のようである。

[Photo not available] そういうわけで、写真もありません。


エンジン警告灯点灯

大変である。ビートのエンジンチェックランプが点灯してしまった。

オートテラスに持ち込んで見てもらう。ECUは、上死点センサーの故障であると言っているらしい。ビートの場合、上死点センサーはディストリビューターの中にあるそうである。そこで、ディストリビューターを交換してもらう。本体が23,520円、交換工賃5,512円であった。

しかし、ECUは相変わらず故障を告げている。どうやら、ECU本体が逝ってしまったらしい。実はビートのECUは故障することで良く知られている。故障の原因はECUの取り付け場所が悪くて熱くなりやすいことと、ECUに使用されている電解コンデンサがヘボであるためらしい。元々電解コンデンサは熱には弱いものだが、普通よりヘボい品質と普通より熱くなるECU設置場所のダブル攻撃ではひとたまりもなく、といったところであろう。

オートテラス担当者によると、メーカーにECUの在庫はなく、オーダーがたまった時点で(再)生産するらしい。ECUに使用されているマイコンは13年前の沖電気製のもので、半導体の常識からするとそんなマイコンが残っていること自体奇跡のようなものである。パソコンで言えば、i486が部品として残っているようなものだ。であるから、オーダーがたまれば生産できるという点については、素直に評価したい。しかし、このビートは通勤車両であるから、のんきに再生産をを待っている余裕は無い。

そこでECUを修理してもらうことにした。繰り返しになるがビートのECU故障は非常に有名である。そのためか、ヤフオクにも「ビートECU用電解コンデンサ一式」とか、「ビートECU修理」というような出品が良くあるらしい。ただヤフオク利用の場合は、少なくともECU脱着は自分でやる必要があるし、ビートの場合はこれがとんでもなく面倒である。なので、修理業者選定も含めてオートテラスに丸投げした。

結局、ECU修理代金が11,025円、ECU脱着工賃が7,087円であった。外された電解コンデンサを見たが、足はぴかぴか光っているし、コンデンサ本体も膨れてはいない。が、修理業者から送られてきた写真によると、基板内部が腐食してしまっていたため、表面をはがして修正し、もう一度エポキシで埋めたそうである。それ以外にジャンパー線も一本追加したそうである。

もちろんエンジンチェックランプは点かなくなった。

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