パソコン風水学(実践編)

独自の技術観で人気のあった 「今日の必ずトクする一言」 が閉鎖になってしまった.惜しいのはもちろんだが,「伝道フェーズは終了し,これからは実践フェーズに進化する」ということなのかもしれない.ともあれ,執筆やサイト維持にはご苦労されたことと拝察する.貴重な情報 (無論 intelligence の方だが) を惜しげもなく公開いただいたことに,素直に感謝したい.
今回は感謝の意と復帰への期待の念を込めて,パソコン風水学実践編をお送りする.なお,文体についてもなるべく似せたつもりであるが,これも感謝の表現であって,他意はない.また,「(文体が)似てねー」という評価について,ご本人以外からの指摘については耳をふさぐこととする(笑)

さて,今この原稿を書いているパソコンはこれである.

本体写真東芝 Equium S5010

あまり見たことのある人はいないだろうが,東芝の企業向けコンパクトパソコンである.どのくらいコンパクトかは,MS 純正ステッカーや Intel 純正ステッカーなどから想像してほしい.

通常,一般向けには販売しない(東芝の営業所に電話すれば買えるかも?)のだが,(東芝グループの)従業員は別である.というか,お客様にお買い上げいただいたものが何かの原因で返品された場合,捨てるともったいないから再整備して従業員に売るのである.廃物利用と言えなくもないが,再整備して正規の出荷テストに合格しているのだから,立派な商品でもある.なお,従業員が買う場合の価格は,社外秘なので言えない(笑)

この機械,本体内にボードをさすことはもちろんできないが,HDD に CDROM, USB, IEEE 1394, PC CARD, LAN にモデムまで付いている.ネット端末にときどき MP3 を作るぐらいの用途なので,これだけついていれば十分だろう.実は会社で同型の機械を使用しており,割り切りの潔さに感銘を受けて,個人用に一台調達した.

お気に入りの機械を手に入れてハッピーな筆者だが,ひとつ気になることがある.この機械には通風孔がやけに少ない.写真に写っているとおり,本体の側面下側が網になっており,それ以外に裏側の下半分が同様に網になっている.上面と,写真に写っていない側の側面にはまったく穴がない.熱い空気は上に昇るはずなので,この機械では上半分に熱がたまって逃げないことになる.これでよいのだろうか.

裏面裏面.通風孔はこれだけ.

とりあえず中を見てみよう.

内部写真内部.

本体の上半分が ハードディスク と CDROM(ハードディスクの陰になっていて見えない)で占められている.電源は外付け(AC アダプタ)なので内部にはない.下側に見えるのが CPU ファンで,この機械についているファンはこれだけである.

電源が外付けなのは熱的には有利だろうが,それにしてもこの構造だとハードディスク(と CDROM)はまったく冷えない.会社で使っている機械も熱暴走こそしたことはないが,実のところ上面はかなり熱い.CDROM のトレーを開けると熱風が出てくることもある.

ここで機械をもう一度よく眺めて,本体の TOSHIBA ロゴが縦になっていることに気が付いた.そういえば CDROM の COMPACT disc の文字も縦になっている.PC CARD や USB も,機械を横にしても使い勝手には影響はないようだ.とすると,この機械は設置面積を減らすために無理に立てられているのであって,本来は寝かして使うのが正しいのではないか?

早速本体を横にしてみる.縦置き用の台はネジ2本で簡単に外れた.縦置き前提で貼ってある MS のステッカーと Intel のステッカーは,性能にも保証にも影響ないハズなのではがす.

横置き横向きに設置

これで終わりか?もちろんそうではない.CPU ファンが CPU に吹き付ける向きになっている.本体が縦置きの場合はそれもありだろうが,横置きになった今,CPU から吸い出す方向にしたほうが,対流的に有利なのではないか.そこで CPU ファンを裏返した.ファンの高さが不足してケース(通風孔)との間に隙間がある.これは隙間テープでふさいだ.本来ならば通気孔を大きくする(増やす)加工もほしいところだが,面倒なので省略する.

この細工は効くだろうか.正直言って,よくわからない(笑).ムービーを再生して CPU 負荷を上げると,ファンが動いて空気を吐き出すのは観察できる.ベンチで簡単に測定できるような性格のものではないので,効果の測定には温度計が適当だろうが,それが無い.とりあえず今回については,温度上昇を抑えることで機械の寿命が多少延びてほしい,と期待するところで終わりにしたい.

野暮な註: 筆者は(株)東芝の子会社の社員ではありますが,PC の部門とはまったく関係がありません.本記事の内容は(株)東芝の指定した方法以外での使用となりますので,(株)東芝による保証の対象外となります.この記事に記載された使用方法による不利益および利益については,(株)東芝では一切担保しません.製品添付の書類には,製品を分解した場合「保証やその他のサービスは受けられません」とあります.CPU ファンの向きを逆にすることが「分解」にあたるかどうかは筆者にはわかりませんが,とにかくそういうことですので注意してください.
なお,この記事に記載された使用方法による不利益および利益について,筆者としても担保いたしかねますので,自己責任にてお願いします.こんなことをグダグダ書かないといけないあたりが,にっぽん人の技術力の低下をあらわしているのでしょうが...

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