突然スピーカーの話

スピーカーを買いました.

ウチのビートはスカイサウンドシステムの高い方のやつが付いていて, それのドア用 16センチフルレンジは Pioneer の同軸 2way (TS-J160A) に買い換えたのですが, 今回のネタは部屋で音楽を聞くためのスピーカー. 本来はパソコン用の ヤマハ YST-MS201. マルチメディアスピーカー.

[INLINE]ヤマハ YST-MS201

元々自分はそれほどオーディオ機器には拘らない方で, 今まで使っていたのもどちらかというと安物系でしたから, 部屋の BGM 用途だったらパソコンスピーカーでも良いかと思ってました. そこでたまたま行ったディスカウント屋でこれが税込み 6,800円. YST 方式のサブウーハーまで付いて 6,800円なら安いかな, と思って購入しました.

後で調べてみると, これのにっぽん国内メーカー希望小売価格は 9,000円. 実際の販売価格は 6千円台前半から 7千円台前半といったところ. アメリカ (合衆国) では 49.95ドル... というのが suggested retail price なのか average sales price なのかはちょっと見落しましたが, まぁだいたいそんな値段. ブツは made in china なので, どちらにしても輸入品. だからだいたいおんなじような値段なのでしょうか?

などと細かいことを書いているのは, たまたま調べた BOSE のスピーカーの内外価格差に驚いたから. BOSE 本家の Web site で on-line shopping のところを覗く (ためには, 「アメリカで使う」と言わないといけないんですが) と, 例えば 201 がペアで約 200ドル. にっぽん国の BOSE の site で 201 の希望小売価格を見ると?
どこかのネット掲示板で「BOSE は良心的な価格設定で好感が持てる」 みたいなことを言っていたヒトがいたけれど, そのヒトは本国価格を見ていってるのかしら? それとも秋葉原価格になると, ちゃんと 1ドル 140円ぐらいにはなるのかな?

閑話休題. 買ったヤマハのスピーカーを家に持って帰り, 大昔のラジオ付き Diskman (D-T100) を繋いでたまたま手元にあった中島みゆきをかけてみます.

なんじゃぁ, こりゃぁ

音は簡単に言うとラジオの音で, しかもどういう訳かエコーがかかって聞こえます. 中島みゆきの CD は比較的音が歪んでいる... と言うか, わざと歪ませた物が多いと思っているのですが, それにしてもこれはヒドい. いつも使っている DENON PMA-390 + 貰い物の ONKYO の AV スピーカー では, ここまで歪んだ音にはなりません.

エラいもん, 買っちゃったなぁ

箱には「雑誌や Web Site での激賞のことば」みたいな文句が書いてあり, 良く言ってもらえたところだけ?しっかり引用してあるのですが, この review を書いたヒトってこのスピーカー使ったのでしょうか. それともヤマハが別のスピーカーの review 記事を引用して, review 対象よりはずっと落ちる?スピーカーの箱に印刷したのか?

改めて Web で調べてみたのですが, 日本語のサイトでこのスピーカーをちゃんと評価しているところは見つけられません. というよりも, ピュアオーディオを含むどんなスピーカーも, あるいはアンプも, CD プレーヤーも, 実名を挙げてちゃんと評価しているところはほとんどありません. あるのは大本営発表, じゃなかった, プレスリリースのコピーと, 怪しい掲示板でごみに埋もれた書き込みが少々. たまにプロの書き手 (評論家, 販売店) の記事もあるのですが, どれが良いとは書いてあってもどう良いか, なぜ良いかはほとんど書いていない. こんなことで良いのか? とも思うけれど, 良く考えてみるとこのあたりいかにもオーディオ評論家的, オーディオ販売店的であるようにも思う. 自動車評論家も同じようなものでしょうか?

英語で探すとメディアが二箇所に掲示板風のところが一箇所ありました. メディアの一つ目は激賞 (苦笑). メディアの二つ目 (ZDNET だったか?) は, かなり辛口で ALTEC の方がずっと良いと書いています. 掲示板風のところでもあまり評価は高くないみたい. なるほど, 私の耳が腐っている訳ではないらしい.

しかし, 一応ヤマハの金看板?を背負った商品ですので, もう少し注意深く調べてみることにします. ウーハーの方は比較的問題が無さそうですが, サテライトスピーカーはどう聞いてもおかしい. バスレフだったらエコーがかかってもおかしくないのですが, これは密閉型なんだから普通に作れば普通に鳴る筈. なぜだろうと思いながら鳴っているスピーカーに触ってみると,

なんだい, 振動しまくってるじゃん

サテライトスピーカーの蓋 (バッフル板) を開けてみると, エンクロージャーはポリプロの一体整形で, 中には吸音材も何も入っていません. いくらバッフルやらエンクロージャーやらをスラント (直角ではなく, 斜めの面にする) させて定在波を減らしたと言っても, 中に何も入ってないうえに強度も重さもない材料を使ったんじゃ, そりゃー変な音も出るだろうに.

そこでとりあえずエンクロージャーの振動を減らそうと, 内側にカーオーディオ用制振シート (エーモン) を貼りました. ついでと言ってはナンですが, 吸音材に綿を入れます (最初はフェルトだったのですが, 中の形状がヤヤこしくてフェルトが入れにくいので変えました). これで蓋をしてもう一度中島みゆきを...

[INLINE]制振シートを貼る
[INLINE]綿を入れる

おぉ, まともになった

指向性が強いらしく, かなり耳の位置を選びますが, 音のラジオっぽさはだいぶなくなって, 妻が使っている大昔の高級ラジカセ (アイワ CSD-XR70) よりもすっきりとした自然な音になりました. たまにアヤしい響きや鋭い音が聞こえたりしますが, このあたりが限界かな?

指向性を弱めるためにスピーカー直前に丸いビンを置くと, 音に広がりが出る上に高音の鋭い音がだいぶ聞こえなくなります. テストはペンキのスプレー缶でしたのですが, 実際にセッティングする時は「KIRIN 聞茶」の缶あたりが良さそう.

[INLINE]KIRIN 聞茶


という訳で, どうにか自分の耳が納得できそうなあたりまでチューニングできました. スピーカーってのはオーディオの中では一番完成度の低い部分だそうで, まして安物ですからちょっと手を入れれば (良くなるかどうかは別として) 劇的に特性が変わります. つまり音響機器のツボ.

でも, みんながツボを知っていて好きなように改造して満足してしまうと, 新製品が売れなくなってメーカーも雑誌も店も困るから, そういうことは言わないでいつまでたっても「画期的な新製品登場」. でなければ「銘品の血統をお手頃な価格で」. 「まさにハイエンドと呼べる」「上級機の質感を獲得」「独自の技術を満載」 なんてのもありますが, 要するに買えってこと. でも半年すると「更に画期的」「もっとお手頃」になるんですよね. 結局一番高いのを買ってそれ以上望めない状態になるか, 一番安いのを買ってそれ以上望まない状態になるか, どっちかしか無いんじゃない?

オーディオだけじゃなく, クルマも似たようなモンかも知れませんが.

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2001 Copyright (C) Hajime Tsuchiya. All rights reserved.

PS. 文中に出てくるアイワの高級ラジカセは, スピーカーの裏に吸音材代わりのウレタンスポンジを入れたら 変造後のヤマハスピーカー以上に私好みの音になったような, 気が, します.
こうしてライバル達は, 競い合ってより高いステージに登って行くのであった (笑).