車高調シェイクダウン in 成田モーターランド

午後の日は既に傾きかけていた.
1月としては異様に高かった気温も, そして路面温度も, だいぶ下がってきていた.
走行可能な時間から言って, これが最後の出走になることは明らかだった.
待つ.
出走を許可する日章旗が振られるのを.
旗は, 振られた.
軽いホイールスピンと共に, 私は, 走り出した.

その日の走行は惨憺たるものだった.
何しろ そのままレースに出てもおかしくないような設定 (車高を除く) の特注車高調整式サスペンションに, ロードタイヤ (普通に公道を走るタイヤ) とはいえその中では横浜ゴム最強のグリップを誇る NEOVA の, それもホンダ純正指定よりも 1つ幅広のサイズを使用しているのである. だから, ホンダ純正サスペンション + ホンダ純正指定サイズの GRID II 使用時に対してマイナス 2秒, つまり去年の 11月の記録が 51.37秒から 2秒引いて 49.37秒が今回の目標だった. ところが.

一走目は, 純正サス + GRID II の記録すら超えられなかった. クルマの挙動自体は自在に操れるようになり, サスペンションの素性は悪くないと思われるのだが, タイヤが全くと言っていいほどグリップしない.

うちうぢん (宇宙人) 氏に「空気圧の問題では?」と指摘されたので, 空気圧を調べる. 冷間 2.4kg/cm^2 に対して走行終了後 2.7〜2.5kg/cm^2. 高そうだ. 走行終了時 2.4〜2.5kg/cm^2 あたりになるように調整.

[コース図]いつものコース図

二走目. 一走目よりは多少グリップするようになったが, 三周目に解脱コーナー (コース図 F) で二速に入れたつもりが四速に入れてしまい, あきらめて流す.
三走目でかろうじて以前の記録を更新. ここで昼食.

四走目は同乗走行.
同乗者は妙齢の女性. 「妙齢の女性」ということで想像される通り, 腕力が無いせいであろう, 把手に掴まっているにもかかわらずコーナーごとにシートから落ちそうになるので, 全力走行はあきらめる.
サスペンション交換でもう少しロールが減ると思っていたのだが, そうでも無いようである. クルマがロールする原因は外側のバネが縮んで沈むのと, 内側のバネが伸びて浮き上がるのと, 二つの原因があるのだが, もしかしてこのクルマの場合は浮き上がる方が強いのだろうか. 車高を下げなかったのが良くなかったか?

五走目の前にマッドマウス氏登場.
グリップが足りないと言上すると, マッドマウス氏は, 温度の問題を指摘される. タイヤはある程度温度が上がらないとグリップしないものであるが, NEOVA の場合グリップを発揮する温度が多少高めであると仰るのである. そこで 5走目は, 一周目でアンダーを出すように走行して, 前輪を路面で擦っておくことにする. せめて前輪だけでも, 二周目以降グリップするようにしようという作戦である.
これがうまくいったのか, それとも解脱コーナーで出口側をワイドに使うようにしたのが効いたか, ともかくタイムが 50秒台に入る.
六走目も同様に「一周目でタイヤを擦りまくるぞ作戦」を敢行するが, しかし, 一周目と二周目で気持ちを切り替えるのに失敗して, 二周目もタイヤを擦ってしまう. 三周目は何とか気持ちを切り替えたが, 攻めすぎて内側のタイヤが縁石に乗ってしまいタイムロス.

そして七走目. 本日最後の走行.
もう 49秒台は完全に諦めていたが, 50秒台前半ぐらいにはならないと妻に合わせる顔が無い (たぶん).
精神を集中する.

一周目. B から C への 13R, E の 18R あたりは本来必要な舵角の 1.5 倍くらいハンドルを切る. アンダーステアを出してタイヤを擦るためである. 解脱コーナー F の出口はワイドに使って G から H へスピードを乗せていく. これは最終コーナー 15R を可能な限り速く抜けて二周目につなげるため.
二周目. 一周目とはうってかわって, 舵角は必要以上には与えない. D あたりはタイヤがグリップすれば 3速のままで行けると思うし, それでシフト 1往復分タイムが縮まるとも思うのだけれど, タイヤがグリップしてくれないので以前同様 7R 手前で 2速に落とし, E 18R あたりで 3速に戻す. E のあたりと最終ヘアピン出口 H 付近はクルマがロールしてどうしてもトラクションが抜けてしまうのだけれど, どうにかならないものだろうか. 解脱コーナー以降は一周目同様. 三周目も二周目とあまり変わらない.

ピットに戻ってタイムを見に行く. 50.77秒. 0.6秒更新.
目標には, 遠く, 及ばない.

遥かに.

Result (各出走二周目及び三周目. 一周目は非計時.)

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