インターネットの掲示板とゲームセンターに見られる新しい異年齢集団の創造
〜ダンスダンスレボリューションを題材にして〜
2000/6/25
筒井愛知(岡山県立鴨方高等学校非常勤講師)
第7回日本子ども社会学会大会(広島大学)
1.
テレビゲーム史におけるダンスダンスレボリューション(DDR)の特殊性
「ダンスダンスレボリューション」とは画面に流れるガイドにしたがって、タイミングよく、ゲーム機の指定された場所を踏むゲームである。踏む場所は前後左右の4ヶ所あるが、どの足で踏むか、はたまた手で押さえるかなどは自由である。正確に踏めたかどうかが点数につながる。ミスを重ねるとゲームオーバーとなる。
大きく分けて得点を競うスコアラーと、踊りのカッコよさや面白さを競うパフォーマーにわかれる。
■従来のゲーム(一人プレー、対戦プレーのどちらも)とDDRの違い
従来のゲーム | DDR | |
画面からの情報は | 自分が参加している世界そのものを構築するためにある | 踊るためのガイドに過ぎない(カラオケ画面の歌詞のようなもの) |
していると思っていること | 画面からの情報で構築される世界の中での、さまざまな行動 | ダンス |
実際にしていること | ボタンやレバーやハンドルやペダルの操作 | ダンス |
ギャラリーは | 主に画面を見る プレーヤーに声をかけにくい |
主に人を見る プレーヤーに声をかけやすい |
対戦する場合は | プレーヤーはそれぞれ画面を通じて世界に関わる | プレーヤーは相手の動きに注目する |
■その他のDDRの特徴
踏む足の位置以外のプレイスタイルは一切自由
他人に見られることで完結する
ゲーマーが体を動かすことに目覚めた。
ゲームセンターでもヒットし家庭用ソフトとしてもヒットした。
家庭用ゲーム機で自分のオリジナルの足譜を自作し、それをゲームセンターでプレーできる。
2. ゲームセンターにおけるDDRを通じた人と人との交流の特殊性
■従来の交流
交換ノート、イラストボード、ゲーム大会など、店が用意するしかけ
格闘ゲームにおける対戦プレー
上手な人のプレー画面を肩越しに見せてもらう
■DDRにおける交流
上手な人のプレーをかなり遠くからでも一度に大勢が見られる
自分のプレーを人に見てもらう
一緒にペアプレイをする(対戦ではなく協同作業)
オリジナルの足譜をお互いにプレーする
3. ネットワーク上のコミュニティ
地域を限定しない、時間を限定しない、匿名性、文字を主体とした情報交換…
掲示板(気軽に誰でも設置可能。)とOFF会(ネットワーカーが他人と直に会うことにこだわる場。地域が広いとしっょちゅうはできない。)
4. ダンスブームと身体
高等学校におけるダンス部員の急増
ストリートダンスとパラパラブーム
若い世代のダンスに対する興味と実践
5. DDR岡山組
全国に400以上あるDDR○○組の一つ
@ DDR(ダンス・体を通じたコミュニケーション)+
A ゲームセンター(行き付けの溜まり場・居場所)+
B 地域限定のネットワークコミュニティ(言葉での気軽なコミュニケーション)+
C OFF会(直接人と出会ってのコミュニケーション)
メンバーは中学生から30代までの約50名、中高生は一割強
自主的なゲーム大会、ダンス講習会などの開催
他府県の団体との交流
DDRだけが目的ではなく、集まって楽しい時間を過ごすこと自体が目的
地域限定なので毎週のように何処かのゲーセンでOFFでの出会いや集まりがある
OFF会ではゲームセンターに集まることが多いが食事や遊園地なども利用
「ゲームセンターが居場所となりうる」
6. 「掲示板と特定の場所」を居場所にするための要件と問題点
@ 掲示板での日常的な交流
A いつでも誰でも行ける開かれた場所
B そこに行かなくてはできないことがあり、しかもそれは人とかかわることを必要とする。例えばダンスフロアー、バスケのゴール、楽器の演奏、スケボーのランプなど
問題点:掲示板上の作法を現実に持ち込むこと
集団化したメンバーには外部の人間が見えなくなる
掲示板のコミュニケーションはしばしば誤解を生じる
これらの問題には誰かのフォローが必要
岡山組における問題
資料
筒井愛知 http://www.asahi-net.or.jp/~PH6Y-TTI/ddr.htm
瀬野部屋http://www.twin.ne.jp/%7eseno/ddr/index.html
岡山組http://members.fortunecity.com/okaddr/index.html
岡山組掲示板http://www.wide.gr.jp/FreeBBS/009/okaddr.html