Grog, Groggy, Grogrum.



 グロッグは配給酒。英国海軍の原動力で、1970年に廃止されるまで続いた伝統の酒である。水割りのラムのことを一般に指すが、適宜砂糖やレモンを加えていたようである。水とラムの混合比は2:1。「パッサーズ・ラム(Pusser's Rum)」(注1)は英国海軍に納入されていたものが配給酒制度廃止で市場に出回ったもので、「1655年以来の伝統」が売り文句(注2)である。しかし、ラムが配給され始めたのは18世紀のことである。
 折しもその時代、フランスとの戦争状態に入ったことで、それまで配給酒に使っていたブランデーの補給が出来なくなった。タイミング良くジャマイカを占領して、ラムに切り替えたところ、生のまま呑んで悪酔いする水兵が続出し、事故が増えた。そこで1740年(注3)にエドワード・ヴァーノン中将が水割りにして配給したところ、それがなくなったので、水割りでの配給が一般的になったのである。そして、このヴァーノン提督、トレードマークがグログラム(絹毛混紡の布)のボート用長マントで、「グロッグ親父(Old Grog)」の通り名があった。このために、彼が発明した配給酒も「グロッグ」と呼ばれるようになったとのことである。いくらグロッグでも飲み過ぎればふらふらになる。その状態を指した言葉がグロッギー、日本語になまると「グロッキー」である。
注1、2:Pusser's Rumラベルより
注3:研究社英和大辞典第5版grogの項より


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