何故、船は「彼女」と呼ばれるのか
フェミニストは読まないこと!


 日本人にそのテの趣味の人が少ないのか(深読ミスヘキニアラス)、近・現代の日本では人名を船に名付けない(江戸時代だと、船頭の名前をとって「太郎丸」なんてのがあった)。
 護衛艦「東郷」、戦艦「豊臣」、空母「村上」。何処ぞの安ぴか架空戦記ならともかく、こんな艦名は存在しない。(「信長」など、言語道断である。慣習で、艦名には名+姓か姓のみをつけるのである)これが欧米だと、戦艦「ネルソン」、空母「シャルル・ドゴール」、豪華客船「マクシム・ゴーリキー」から巡洋戦艦「ヤウズ・スルタン・セリム2世」、駆逐艦「バルバロス」まで、世界史の教科書と見まがうことになる。 そんな名前の船や艦も、"she"。
 これは何故か。いろんな人が、いろんな説を立てる。「男が上に乗って操るから」似たようなもので "Because, her bottom is always XXX" (おおっ、ただのヘル談と化している。だから、フェミニストは読むなと云ったでしょう?)合衆国海軍チェスター・ニミッツ元帥は細々と理屈を並べている。
1. いつもその周囲にはてんやわんやの大騒ぎが演じられる。
2. その周囲には一団の男衆がつきまとっているのが常である。
3. ウエスト(中部甲板=腰)とステイ(支索=頼りにする男)とを持っている。
4. 見栄えをよくするために多量のペイント(紅、白粉)の投入が必要である。
5. 諸君を破局に導くのは、その入手費ではなくて、維持費である。
6. 満身飾り立てられる(こともある)。
7. 正しく扱うには当を得た男子が必要である。
8. 上半身はあらわに出し、下半身は隠している(以下、略)。
(中村庸夫『世界の帆船物語』新潮文庫、1987年、124ページ)
 ところが、である。実際には"he"とも呼ばれている。たとえば、『パナマの死闘』ではジェラード2等海尉が"Pound him, lads, pound him!"と部下をけしかけている。要するに、それほどこだわって「彼女」と呼んでいるわけではなさそうなのである(実は、色男ジェラードがバイで、興奮して本音が……なんてことは考えてはいけない。この当時、ソドミストは絞首刑である)。

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