1. いつもその周囲にはてんやわんやの大騒ぎが演じられる。ところが、である。実際には"he"とも呼ばれている。たとえば、『パナマの死闘』ではジェラード2等海尉が"Pound him, lads, pound him!"と部下をけしかけている。要するに、それほどこだわって「彼女」と呼んでいるわけではなさそうなのである(実は、色男ジェラードがバイで、興奮して本音が……なんてことは考えてはいけない。この当時、ソドミストは絞首刑である)。
2. その周囲には一団の男衆がつきまとっているのが常である。
3. ウエスト(中部甲板=腰)とステイ(支索=頼りにする男)とを持っている。
4. 見栄えをよくするために多量のペイント(紅、白粉)の投入が必要である。
5. 諸君を破局に導くのは、その入手費ではなくて、維持費である。
6. 満身飾り立てられる(こともある)。
7. 正しく扱うには当を得た男子が必要である。
8. 上半身はあらわに出し、下半身は隠している(以下、略)。(中村庸夫『世界の帆船物語』新潮文庫、1987年、124ページ)