チリ海軍練習船エスメラルダを見学しました(1997年9月)


エスメラルダについて

 ダイアナ妃の御逝去の衝撃冷めやらぬ9月2日、手につかない仕事を午前中でほっぽりだして、まずは英国大使館へ記帳に行き、その足で「精進落とし」とかつぶやきながら晴海埠頭へ行って来ました(と書いてるのは半年後なのですが)。結局のところ、ダイアナ・ショックは3ヶ月ばかり尾を引きましたね。
 さて。
 エスメラルダはチリ海軍の練習船です。4本マストのトプスル・スクーナー……と書きかけて、よくよく観ると、なんとフォア・コースがあるんです。スクーナーなら、フォア・コースはありません。しかし、バーケンティン(フォアマストが横帆のみ)というには、最下桁があまりにも高すぎる位置にあるので、マストの設計はスクーナーマストのハズ。「4本マストわからんチン」などという駄洒落はおくとして、どうも、こういう装帆は「スクーナー・バーケンティン」と呼ぶようです。排水量は3,222トン、乗組員は士官・水兵合わせて237名で、士官候補生100名を収容できます。セイル面積は2,870平方メートルで、これはスペイン海軍のスクーナー、ファン・セバスティアン・ド・エルカノと並ぶ世界最大級の数字です。海上自衛隊にもこういう練習船があれば良いのに。
 「エスメラルダ」はスペイン語で緑柱石(エメラルド)の意味です。チリ海軍では6代目の艦船名で、初代は独立戦争時(1820年)に拿捕したスペイン海軍のフリゲート艦でした。これを拿捕したのが、あのコクラン卿(ホレイショ・ホーンブロワーのモデルの1人ともいわれる、ナポレオン戦争時代の英国海軍の名艦長。後、チリ海軍提督。第10代ダンドナルド伯爵)です。
 さて。その6代目に乗船してみて気がついたのは士官でも英語が不自由だということ。海軍士官というものは英語ができるものだと頭から信じていたんですけどねぇ。もちろん、日本語もできるわけではないので、上陸した一隊はどうやって意志疎通をしたのやら、他人事ながら心配でした。コクラン卿が草葉の陰で泣いているぞ!
 船として甲板にあがった感触は、結構、傾斜がきついということ。縦方向のシアのきつさもさることながら、横方向の丸みも結構あって、写真を撮ろうとすると水平をとるのが大変でした。

画像をクリックすると大きな画像が見れます。このページへはブラウザの「戻る」でお願いします。

晴海客船ターミナルより

縦帆船特有の柔らかい美しさがありますね。
 こういうアングルはあまりないので、とれてうれしかったです。もちろん、晴海に来た船は、たいてい、ここからとれるのですが。
 

後ろ姿

アングルが悪いのか、あんまり、きれいにはとれませんでした。横帆船なら、このアングルが良いんですけど……向こうに見えてるのはホストシップの護衛艦あまぎりです。

舷門脇にあった船鐘

何のためにあるのかはわからないんですが、舷門の脇に船鐘が飾ってありました。舷門の良い写真がなかったので、これで勘弁してやってください。

もはや貴重な存在となったオープン・ホイール

もちろん、船首部(おもて)のブリッジにも操舵装置はあるのですが、船尾の帆走用の舵輪が露天になっているのは、このクラスでは珍しいのではないでしょうか。先代の日本丸でさえ、屋根付きでした。
 手前にあるのが、船鐘です。

あんまり珍しいので、舷外からもう一度。

船尾にカンテラが見えます。

ちょっと、気合い入れてみました。

 白黒のネガを、カラー印画紙に焼きます。そのとき「セピア色にしてください」といってプリントしてもらうと、こうなります。昔はどのラボでもやってもらえたような気がするんですけど、現在もこのサービスをしているのはコニカだけだそうです。ライトから生えている光の角は絞りを加えたために起きているようです。

おまけ・ホストシップを務めた護衛艦あまぎり

所属は日本の海上自衛隊。 
 この色気のない船体。上部構造物の傾斜もあまりついていないし、マストはトラス構造。ステルス性など全然考えてなさそうですね。甲板の公開もしてましたけど、ここは海上自衛隊ファンのページではないので、割愛します。第一……美しくない!

撮影機材:OLIMPUS OM-4 Ti-BLACK, OLIMPUS 50mm, SIGMA 24mm, and SIGMA 75-300mm.

Special thanks to Admiral Sawa

 広報室へ戻る

「RWFの表紙」に戻る