スウェーデン王国の王室ヨット(ブリッグ装帆)
アンフィオン号(1778年)



アンフィオン号はスウェーデンの王室ヨットとして建造されたものの、ロシアとの戦争で快速を買われて偵察に活躍した。この姿は王室ヨット時代のようではあるものの、舷側にはずらりと旋回砲が並んでいる。これは軍事行動というより海賊対策が主眼とみられる。マラッカ海峡に出没する海賊や、サー・ピーター・ブレイクの死を想えば、現代の民間船舶でも、この程度の武装は必要かもしれない。まして、海上保安庁の巡視船に載っている豆鉄砲は……酷(むご)いとしか言えまい。

なお、「ヨット」とは小型の帆走ボートのみを指す言葉ではなく、王族の行幸用の船舶や「お金持ち」の大型プレジャーボートの意味もある。この時代は帆以外の推進力はオール(人力)しかないため、ここで言う「王室ヨット」は「行幸用の船舶」のほうである。


制作:平生 数馬
ザ・ロープ第27回帆船模型展 2002年1月・伊東屋