「アルク村のジャンヌ嬢」、東京港に入港!



 フランス海軍のヘリコプター母艦(または練習艦)ジャンヌ・ダルクが1999年2月、東京港若洲木材埠頭に入港しました。随伴艦は駆逐艦デュゲイ・トルーアンとフリゲート艦プレリアル。ホストシップは海上自衛隊の護衛艦はつゆきとしらゆきでした。暇人の特権で甲板の公開に行って来ました。ところが警備の警察官(警視庁)との連絡が不十分で、この警官がホラを吹いたために写真はほとんど撮れませんでした。実際に乗組員に確かめたら、撮影しても良かったのですが、後の祭り。官憲横暴!
 ジャンヌダルクはもとはヘリ空母として建造された艦ですが、艦内に士官候補生を収容するスペースと行動を備えて、実質は練習艦です。飛行甲板には海兵隊ではなくフランス陸軍のヘリコプターがずらりと並んで、奇妙でした。そのことを乗組員に尋ねたら、やはりパイロットと共に陸軍から派遣されているのだそうです。ここで大変だったのはmarineという言葉がフランス語では「海軍」なのに、英語では「海兵隊」で、しかも発音はほぼ同じ(私のフランス語は英語訛、を通り越して英語混じり!)。フランス語の「海兵隊」は知っていてもナポレオン時代の名称(infantrie de la marine)……でも、何とか通じました。なお、『神風怪盗〜』とは関係ありません。
 デュゲイ・トルーアンは初代がルイ16世時代の74門艦で、先代は第2次世界大戦の重巡洋艦、伝統ある艦名です。前甲板に背負い式に搭載された100ミリ砲がチャーム・ポイント。この艦もやはり、ペイントの厚さが気になるお年頃です。購買部(と呼んでいいのかどうか)のショーケースに初代から現代までのデュゲイ・トルーアンを水彩で描いたポスターがあったのですが、購買部が開いていなかったので、買えませんでした。残念。ま、フランスらしいといえばフランスらしいですね。何たって、ディズニーランドを午後5時でしめるお国柄ですから。
 プレリアルは革命歴の「収穫月」で、太陽暦の5月頃にあたる月です。5月で収穫なのは収穫されるのが麦だから。ヘリコプターの格納庫の壁には大きな女神のイラストが描いてありました(それを見るまではてっきり何かの形容詞だと思ってました)。このフリゲート艦はタヒチに配備されていて、ジャンヌ・ダルクとデュゲイ・トルーアンで編成された練習艦隊が東京に入港するのにあわせて来航したとのことです。
 どの艦も艦内の廊下や交差点のスペースに「エトワール通り」とか「バスティーユ広場」とか、名所旧跡の名前が付けられているらしいのが興味深かったです。というのは、そう書いてあるボードがあちこちについていました。また、海上自衛隊との合同訓練があったためか、艦内の掲示板に海上自衛隊艦艇の写真が貼ってあって、ちょっとくすぐったい気分でした。

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右から練習艦ジャンヌ・ダルク、駆逐艦デュゲイ・トルーアン、フリゲート艦プレリアル

 こういう泊め方をするか? といいたくなるようなもやい方ですが、何せ、木材を積み卸しする埠頭なので、横一線に止めるのは営業妨害。仕方ないですね。

練習艦ジャンヌ・ダルクの舷門

 長いギャングウェーを抜けると、そこはフランス。手前のお茶目な物体は水兵さんの帽子です。

練習艦ジャンヌ・ダルクの艦尾

 これは日没直後の風景です。3隻分の艦内旅行が終われば、そりゃあ、日も暮れます。まして、公開の開始時間が小一時間も遅れたのでは……。

練習艦ジャンヌ・ダルクとホストシップ

 ホストシップも並列してもやってました。公開もしてたんですけど、時間切れ、見に行けませんでした。残念でしたけど、それよりもジャンヌダルクには長蛇の列、自衛艦はすっからかん。士気に影響しなかったなら良かったのですが……むしろ申し訳なかったです。

練習艦ジャンヌ・ダルクの艦首

 日没。地上の三色旗と、空の三色旗。
 いや、まぁ、つまり、その、それだけなんですけどね。

ジャンヌ・ダルクとデュゲイ・トルーアンの艦尾旗

 自衛艦は下の通り、日没と共に照明を点灯し、艦旗を降下させましたが、フランス海軍は軍艦旗をあげっぱなし。広報活動も戦闘にあたるのか、それとも単に「所詮はカエルの海軍」だからなのでしょうか? ちなみに、ナポレオン戦争中の軍艦旗は白地に左上四分の一だけが三色旗でした。

日没時に降下されるホストシップの艦尾旗

 はつゆきとしらゆきは日没と共にラッパを吹鳴して艦旗を降下しました。その数分前から甲板の各部署に乗組員が起立し、挙手の礼をもってこれを見守っていました。「かっこいいなぁ……」と思う一瞬です。なお、しらゆきの場合、艦旗を降ろす場合に旗のへりを押さえていましたが、はつゆきはひるがえしたまま降ろしていました。艦によって、作法が違うんですね。


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