§.歩兵の装備


ベーカー・ライフル(Baker rifle)

 ライフル銃兵連隊、第60連隊第5〜8大隊、国王陛下のドイツ人部隊軽歩兵及び狙撃兵の小銃。装填の際は薄い革を弾丸に巻き付けて弾丸を施条に食いつかせるが、発射速度が命中率と射程距離より優先される場合は直接、薬包の中身を銃身に入れ、地面に台尻を打ち付けて装填・発射した。


銃剣(bayonet)

 銃剣は肩から掛けたベルトに差している。ソケット式にマスケット銃の筒先に取り付けられるが、これを付けたまま慌てて装填すると銃剣の刃が手を削いだ。ベーカー・ライフルの場合は短剣型で、剣として用いることができた。ハーパーが振り回すのは、これである。


ブラウン・ベス(Brown Bess)

 英国陸軍の通常歩兵、軽歩兵、擲弾兵が用いた小銃。大口径の先込め式滑腔銃で火打ち石で着火・発砲した。ブラウン・ベスはフランス陸軍で用いたものより若干、口径が大きかったために、拿捕した薬包をそのまま使うことができ、命中時の打撃力も大きかった。


水筒(canteen)

 水筒は平たい円筒形のもの、または樽型のものを雑嚢の上に肩から掛けた。


弾薬嚢(だんやくのう、cartridge pouch)

 黒い革製で、ブリキ缶を収めて帯革につながる。通例、36発分の薬(cartridge)を収める。


花形帽章(cockade)

 軍帽に取り付ける国籍マーク。英国陸軍とブルンスヴィック公国軍は黒。革命フランスは中心から青、白、赤。フランス王国とフランス王党派が白。


帯革(たいかく、crossbelt)

 色は白。海兵隊では白さを保つために白土を塗りつけていた。銃剣や剣、弾薬嚢を吊るのに用いた。軽歩兵の士官・下士官はこれにホイッスルを取り付けていた。ライフル銃兵のものは黒。


雑嚢(haversack)

 帆布製、またはリネン製の肩掛けカバンである。3日分の糧食を受け取り、ここに納めた。もっとも、3日分を一度に食べてしまう者もいたようである。戦場では海軍が用いるものと同じ乾パンが配布された。


背嚢(はいのう、knapsack)

 1805年以前は帆布製の柔らかい背嚢を用いていた。しかし、1805年にトロッター商会が全面的に納入し始めた背嚢は漆塗りの四角く、堅い帆布製で、スーツケースのようなものであった。これは背負いにくく、兵士には不評で、行軍が長期にわたると兵士の健康を損ねた。兵士の側は自衛策として一刻も早くフランス軍歩兵を仕留めてその背嚢(と、食料、金銭など)を奪い、これを用いたようである。


房飾り(plume)

 房飾りには様々な形があった。色はおおむね、通常歩兵が上半分が白で下半分が赤、擲弾兵が白、軽歩兵、ライフル銃兵が濃緑。


前立帽(シャコー)(shako, or Belgic shako)

 下級士官〜兵士の軍帽。円筒形のものは「円筒帽」と書いてシャコーと読ませているようである。



3号室・英国陸軍へ戻る

資料室入口へ戻る