99/5/20 ＜発毛剤＞オジサマの福音？　６月発売「ＲｉＵＰリアップ　毎日新聞ニュース速報

これぞ究極の毛生え薬？　大正製薬（本社・東京都豊島区）が６月に発売する男性向け発毛剤「ＲｉＵＰ（リアップ）」が、頭髪に悩みを持つ人たちから熱い視線を集めている。臨床試験では、７割に発毛、または脱毛が止まるなどの効果が表れたという。今月５月２月の製造承認以降、同社には５０００件を超える問い合わせが殺到。小売店側も製品確保にしのぎを削る。髪の悩みを持つ男性は国内に１５００万人近くいるとされ、この薬で一挙に悩み解消といくのか――。　【山田　泰正】

★産毛が生えた

「リアップ」の主成分は米国ファルマシア＆アップジョン社の開発した「ミノキシジル」。血管を拡張させる作用があり、高血圧の治療に用いられていた。ところが、服用中に頭部に産毛が生える副作用が出て注目され、当初の目的を変更し、発毛剤として製品化された。

日本で発売されるのは、６０ミリリットル入り５５００円で、使用法は１日２回、１ミリリットルずつを塗布する。既に欧米など８５カ国で発売され、２４カ国では日本と同じく一般医薬品として薬局で買える。

大正製薬は１９８５年に日本での製造販売権を獲得した。国内で臨床試験を繰り返し、今年２月にようやく国の製造承認を得た。２０〜６５歳を対象にした６カ月間の試験では、４５％で脱毛が止まり、２７％に新たな発毛がみられたという。

★前評判に小踊り

大正製薬が今月１１日に開いた記者会見には外国メディアも含め２３０人が集まった。「バイアグラの発表会は１００人弱だったと聞いており、社内では『勝った』と大喜び。株価も２５０円以上も上がりました」と同社広報室は話す。小売店の期待も大きく、同社が全国６３カ所で開いた説明会では、店主が休憩時間に「おい、これは売れるぞ」と電話する姿が目立ったという。

「コクミン薬局」で知られる業界大手の「コクミン」（本社・大阪市）は、全国２７０店舗で予約を受け付けている。「発毛剤など効かないと思っていた半信半疑のお客さんも、使い始めるでしょう。一時的な品薄が予想され、早目に納品を確保する態勢を組みました」（東京本部）と意気込む。

★万人の悩み？

こうした頭髪関連市場の規模、つまり髪の悩みを持つ人たちはどれくらいいるのか。頭髪ビジネス大手のアートネイチャー（本社・東京都渋谷区）は、男性が１０００万〜１５００万人と推定する。同社のここ数年の売上高はこの不況下でも、前年比５％増で推移する。広報室の菅谷健一さんは「洋の東西、時代を問わず、脱毛、薄毛は万人の悩み。からかわれたりして心に傷を負うケースも多く、利用者はかつらや増毛で精神的な安定を求めている」と説明。「日本人は特に髪を気にするのか、人口に対するマーケット規模が、先進国の中でもずば抜けて高い。将来的に市場は拡大する」と予想する。

「リアップ」の登場で影響を受けそうなのが、既存の育毛剤メーカーだ。家庭での育毛剤利用者は約５００万人いて、その売上額は５００億〜６００億円とされる。早くから育毛剤を扱っている資生堂（本社・同中央区）は「市場の活性化につながるので、推移を見守りたい」（広報室）と冷静だが、包装デザインを変えたり、効き目を強化したタイプを売り出し対抗策に乗り出すメーカーもある。

★薬に頼る前に

大正製薬は、女性向け製品も「今後の課題として検討中」としている。問い合わせの３割を女性が占めたからだ。米国では既に女性向け製品が発売されているが、日本での臨床試験は男性に限ったため、法律上は男性向けの効能しかうたえない。

気になるのは副作用だ。まれにかゆみが出る場合もあるが、毛髪に詳しいある大学医学部皮膚科の先生は「米国などで１０年以上の歴史があり、科学的にも根拠のある薬。用法をきちっと守れば、効果は出る。ただ、頭髪を増やすには、頭皮を清潔にし、睡眠と食事をきちっと取ることが基本です」と“薬頼み”にくぎを刺す。[1999-05-20-09:55]

大正製薬が来月6月初旬に発売を予定している国内初の発毛剤「リアップ」についての問い合わせが、同社に殺到している。発売に向けて同社では、全国で薬局・薬店向けに説明会を開催したり、商品の手配もするなど、対応に大わらわだ。

「リアップ」の発売日や効果などについての消費者からの問い合わせ電話は、１日平均１７０本もあるという。また、販売店からの注文も多く、「１店舗への最初の出荷は、最大で２４本にしてもらっている」（上原明社長）と、うれしい悲鳴を上げている。

同社では、今年度は１５０万本の販売を見込んでいるが、発売後の追加注文の動向を見極めながら、７月後半には増産するかどうかを決める。「リアップ」の販売価格は、６０ミリリットル入り５５００円。（時事）[1999-05-22-15:37]