99/12/19 シニア向け長期滞在ツアー スキー客激減の野沢温泉 共同通信ニュース速報

「お年寄りの皆さん、三食付いて四週間十四万円の“連泊”はいかが」―。スキー客の激減に悩む長野県の野沢温泉宿泊業組合が、シニアに的を絞った格安長期滞在ツアーを企画している。温水プールでの水中歩行といった高齢者向けメニューを用意し、野沢温泉村も健康指導員の資格を持つ職員の派遣を検討するなどバックアップ。同様のツアーは白馬村でも持ち上がっており「スキー城下町」で知られた温泉街の新たな生き残り策と言えそうだ。       

野沢温泉宿泊業組合は、客足の低迷に危機感を抱く旅館やペンションの経営者が三年前に結成、二十一軒が加盟している。    

ツアーを提案した池田俊文さん(47)は「イタリア旅行のとき、温泉で保養する高齢者の姿がヒントになった。夏から秋にお年寄りの四連泊ツアーをやったら、期間中にリピーターが来るほどの盛況。長期滞在の需要を確信した」と話す。           

宿泊客にアンケートすると、一日四千八百円の安さ以上に親身な接客態度が喜ばれた。池田さんは「七十歳前後の老夫婦が中心だったが、話をしたがっている人が多かった。宿での会話が『いやし』につながったのかも」とみている。              

来年春から秋にかけて募集する「ロングステイプラン」は一週間単位の連泊が基本で三食付き一日五千三百円。健康指導員による入浴法アドバイスや温水プールでの水中歩行、森林浴など高齢者向きのメニューも準備した。                   

四週間以上の連泊は、一日五千円に値引きするなど「年金の範囲」を意識。対象は六十歳以上が基本で、自立生活できれば介護者同伴の人でもOKという。                   

野沢温泉は、歴史のある温泉街と充実した設備のスキー場で観光客を集めてきたが、昨年のスキーシーズンは延べ約五十三万九千人と、最多だった九二年の四九%。九八年度の村営スキー場収入も約十九億七千万円で、九一年度のピーク時の三九%まで激減した。 

村の小林誠商工観光係長は「かつては村の主導でスキー場の設備投資さえすれば、お客さんが来た。でも今は深刻な不況。民間が本気で経営努力をしないと生き残れない」と言う。        

スキーの宿泊客減少に悩むのは白馬村も同じ。ホテルを経営する丸山峰男さん(43)は「若者は駐車場の車で夜を明かし、食事はコンビニ弁当で済ます」と嘆く。秋に実施した高齢者の連泊プランが好評だったことから、来春以降も六十歳以上を対象に三食付き一

日七千円で長期滞在客を募集する。              

[1999-12-19-15:58]


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