99/12/12 <ほーむエコノミー>若いうちの生保加入は得か 医療保険検証 毎日新聞ニュース速報

大阪で働く23歳の長男が生命保険の勧誘を受け、どうしたらいいか相談されました。勧められているのは、死亡保険金3000万円の10年定期付き終身保険(保険料は月約1万円)で、保険会社の方は「若いうちの加入は保険料も安く、得だから」と言うそうです。冷静に考えると、受取人は親ですし、あまり意味はない気もします。それとも、今から将来の必要性に備える方がいいのでしょうか。 (宮崎市、56歳・自営業)

ご子息が勧められた保険は、遺族の生活保障を主な目的として入る商品です。保険料が安いとはいえ、扶養家族がいない今の時点で入るのは、むだが多いと言わざるを得ません。結婚して子供が生まれる段階で入るのが一般的です。

ただし、それまでの間に病気をすると、いざ入ろうというときに、保障内容や死亡保障額に制限がついたり、「健康体」でないことを理由に割増しの保険料となる可能性があります。そうしたことも知ったうえで、健康の維持に気をつけ、「必要になってから加入する」と考えるなら、加入を見合わせればいいと思います。

独身の人は一般に、死亡保障よりも、自分が病気やケガになったときの保障を心配しているようです。そうであれば、「入院給付金」や「手術給付金」が組み込まれている医療保険への加入を検討しましょう。入院給付金が5000円の一般的なタイプは、死亡保障が50万円と少額なので、保険料もそれなりに安いです。

死亡保障をもう少し多めに準備したいなら、定期保険や終身保険、養老保険などに「医療特約」を付ける方法があります。そのほかに、「生前給付機能」がついた保険に入る方法もあります。生前給付機能がついた保険には、特定の病気になった時、死亡保険金が前払いされるものや、重度の高血圧症や糖尿病などで所定の状態になったときに保険金が払われるものなどがあります。単純な死亡保障商品より保険料は割高ですが、重大な病気にかかった時まとまったお金が受け取りたいと考える人に向いています。

生命保険ではなく損害保険のジャンルになりますが、他者に損害を与えたときに備えて、賠償責任保険への加入も検討しましょう。スキー場での衝突事故で相手にケガをさせたり、自転車で歩行者を傷つけた時などに役に立ちます。保険料負担は軽く、各種の傷害保険に特約の形でつけることもできます。 (生活経済ジャーナリスト 高橋伸子)[1999-12-12-00:00]


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