99/12/6じゃこう取引の禁止検討へ ワ条約会議に米印が提案 共同通信ニュース速報

高級香料や漢方薬の原料として古くから珍重されてきた「じゃこう」の国際取引をワシントン条約で全面的に禁止する案が、来年四月にナイロビで開かれる同条約締約国会議で検討されることが六日分かった。                         

じゃこうは、シカの一種ジャコウジカの雄の分泌物。じゃこう目当ての乱獲で個体数が減少したとして、ジャコウジカをワシントン条約の付属書1に掲載し、製品を含むすべての国際取引を禁止するよう米国とインドが共同提案した。              

業界関係者によると、日本は漢方薬などへの需要が根強く、じゃこうの取引国の一つとなっている。取引禁止が決まれば、一部で行われている人工飼育のジャコウジカの製品も輸入が厳しく制限され、漢方薬業界などに影響が出そうだ。             

ジャコウジカは極東ロシアアジアにすむ体長一メートル前後の小型のシカ。雄の下腹部の分泌物であるじゃこうは、同重量の金より高いとされる。今はインドなど一部の国のものを除き、同条約の付属書2に掲載され、輸出国の許可証があれば輸出できるが、欧米では密輸摘発も相次いでいる。                

米国とインドは「じゃこう目当ての密猟によって、ロシアや中国など主要生息地で急減している」とし、ジャコウジカとその製品の輸出入をすべて禁止するよう求めている。           

日本も一九八○年代は、じゃこうの大輸入国で、ワシントン条約の規制を受け入れない「留保」を表明し、国際的な批判を浴びた。

八九年の留保撤回以来、日本の輸入量は減る傾向にはあるが、条約事務局の記録によると、毎年、数キロから十数キロを中国や香港、ロシアなどから輸入、一部は薬に加工して輸出している。海外で土産物に、じゃこうを含む薬を買い税関で放棄させられる例も多い。                           [1999-12-06-08:17]


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