2000/2/9 ◇外形標準課税導入問題、自治省が東京都に再検討求める◇朝日新聞ニュース速報

東京都の石原慎太郎知事が大手銀行の法人事業税に外形標準課税を導入する方針を表明した問題をめぐり、自治省は9日、東京都に説明を求めたうえで、(1)対象を大手銀行だけに限るのは税負担の公平性を損なう(2)1999年度に数十億円に過ぎない銀行の法人事業税をいきなり1100億円に増税するのは地方税法に反する恐れがある――などと指摘し、東京都に再検討を求めた。都側は「都財政は苦しく、理解を願いたい」と答え、平行線で終わった。自治省は引き続き協議を求める方針だ。

東京都の大塚俊郎主税局長らが自治省に出向き、石井隆一税務局長らに説明した。この席で自治省は「地方自治体の行政サービスはどの業種も受けており、なぜ銀行に対象を限るのか。資金残高5兆円以上の銀行に限るのも合理性がない」と指摘。現行の税収額とかけ離れた増税になる点も、「地方税法は、外形標準課税を導入する場合も、著しく均衡を失することのないよう求めており、違法の恐れがある」とした。

さらに、対象となる銀行業界と論議を尽くし理解を求める必要があることや、金融システム安定が求められている中、公的資金が注入されている銀行を対象にするのはどうかなどという問題点を挙げて再考を促した。都側は「都財政が破たんすれば住民への福祉サービスができなくなる。銀行業界は過去15年間をみれば平均約1000億円の納税実績があり、1100億円の税を求めても理解してもらえる範囲と考えている」などと説明した。

自治省は「自治体に課税自主権があるといえ、納得できる税でなければいけない。おのずから節度は求められる」(石井税務局長)として、23日の都議会開会まで都側と協議を続ける方針だ。違法性について、同省は内閣法制局に意見を求めている。

また、自治省の二橋正弘事務次官は9日の記者会見で、「都は大手銀行だけに(課税対象を)限定しているが、自治省が進めようとしている外形標準課税は全業種を想定しており、やや問題はあると感じる」と述べた。[2000-02-09-21:09]


2000/2/7 ◎解説=都の外形標準課税 共同通信経済ニュース速報

石原慎太郎知事が発表した、銀行に対する外形標準課税という新たな制度について都庁幹部は「財源確保の緊急手段」としている。

都の2000年度当初予算案の財政規模は税収の落ち込みから5兆9880億円と12年前の水準にまで低下。聖域視されていた福祉を含め歳出の大幅見直しをしたが、最終的に3200億円が不足職員給与の4%カットなどでようやく切り抜けた。

それでも都が掲げる2003年度の財政健全化には、まだ3000億円前後の財源不足を解消しなければならない。歳出見直しはぎりぎりの状態で、来年夏には都議選もありこれ以上の見直しはきついのが実状。

記者会見で新制度を「ホームスチールみたいなもの」と表現した

石原知事は「目的は増税でなく、安定的な税収の確保」と強調する。一方で「地方分権は結構だが、肝心の税財源の移譲を国会の審議に任せていては10年たつかもしれない」と国などへの不信感ものぞかせる。

条例案を審議する都議会側からは今のところ大きな反対の動きは出ていないという。都は「法律的な縛りはない。実現を目指していく」(主税局幹部)とあくまで強気だ。   [2000-02-07-21:45]


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