2000/1/5 公設の弁護士事務所設置へ 公益性高い訴訟に大阪弁護士会対応 共同通信ニュース速報

大阪弁護士会(滝井繁男会長)の「公設事務所設置・公益活動基金検討プロジェクトチーム」は1月5日までに、公益性が高いが現行制度では採算が取れない福祉情報公開などの分野の訴訟を扱うため、同会が弁護士四人規模の公設事務所を開設、運営するよう滝井会長に答申した。                       

市民が利用しやすい法的サービスの拡充が目的で、早ければ今秋にも実現する見込み。日本弁護士連合会は弁護士の少ない過疎地域での公設事務所を検討しているが、弁護士の公益性という観点から大都市に開設する試みは初めて。               

答申では、年間の運営費用は約七千七百万円となる見込み。当面弁護士会が五千五百万―三千六百万円程度を負担、将来は特別会費を設けて運営するという。                  

福祉や子供の権利、外国人関連の事件などは、作業量が多く負担が大きいのに報酬が低く、弁護士の間でも敬遠されがちなため、同チームが昨年八月から検討してきた。   [2000-01-05-11:22]


2000/1/5 <特報・公設事務所>設置へ全国初 弱者救済目的 大阪弁護 毎日新聞ニュース速報

大阪弁護士会(滝井繁男会長)が、公益性が高いが通常の弁護士事務所では採算の取れない訴訟を取り扱う「公設事務所」を今秋にも設置する方針を固めた。

社会福祉精神保健、子供の権利など社会的弱者の法的救済や情報公開に絡む行政訴訟などの事件が対象で、弁護士会が“運営する”「弁護士事務所」との位置づけ。日本弁護士連合会(日弁連)は過疎地域の公設事務所設置を検討しているが、弁護士の公益的役割に主眼を置いた公設事務所の設置は全国で初めて。

「公設事務所設置・公益活動基金検討プロジェクトチーム」(坂本秀文座長)が昨夏から検討し、このほど答申書を滝井会長に提出した。同弁護士会は近く役員レベルで協議を始め、具体的な運営方法などを詰める。

数十万円単位の少額訴訟や、弁護士費用が支払えない社会的弱者の訴訟は、採算が取れず、引き受ける弁護士が見つかりにくい。困窮者などに対しては扶助する制度もあるが、まかない切れていない。

また、少年事件介護老人をめぐる問題は、地域の学校や保健所と密接にかかわる必要があり、時間的にも経済的にも弁護士の負担が大きく、情報公開などの行政訴訟も弁護士がボランティア的に取り組んでいるのが実情。こうした問題を解決しようと、弁護士会が資金提供して公設事務所を設置する構想が生まれた。

答申書によると、公設事務所は、所長ほか弁護士3人、事務職員4人程度で構成。開設費用約1900万円、給与など運営資金に年間約6700万円を見込んでいる。公害・環境問題など専門性の強い訴訟については公設事務所の活動に協力する嘱託弁護士も選任する予定。

初年度は約5500万円、次年度から約3600万円を同弁護士会が資金提供するが、5年をめどに会員から特別会費を徴収する方式に切り換える

元同弁護士会会長の坂本座長は「どんな人にも法的救済を受ける権利があるが、既存の制度では対応できないケースが多い。公設事務所は法的サービスをより市民に近づけようとする試みだ。水面下の需要は相当あるとみられ、次々に同様の事務所を開いていくことが目標だ」と話している。 【和泉かよ子】[2000-01-05-02:00]


記事と論評のページに戻る  12月の新着情報  1月の新着情報

最初のホームページに戻る   pf4m-atm@asahi-net.or.jp