99/11/1 トラ製品の販売禁止要請へ ワ条約調査団が年内来日 共同通信ニュース速報

絶滅の恐れが強いトラの成分を含む漢方薬や強壮剤などが日本国内で広く売られていることについて、ワシントン条約の常設委員会は一日までに、この問題に関する国際調査団を日本などに年内に派遣することを決めた。                    

来日の目的は「この問題での政府の取り組みを支援するため」としているが、調査団がトラ製品の販売を法律によって禁止するよう要請するのは確実だ。                    

これに対し日本政府は「絶滅の恐れのある種の保存法」でトラの骨やペニスなどの製品を新たに販売禁止の対象とすることの可否について具体的な検討を始めたが、詳しい流通経路などが分からない商品も多く、対応に苦慮している。              

関係者によると、調査団はクラウス・テプファー国連環境計画(UNEP)事務局長とワシントン条約のウィレム・ウィンステッカー事務局長らが加わるハイレベルの陣容となる見通し。十一月末から十二月にかけて、インド、中国と日本を訪問。各国の状況を調査する。                           

トラは、骨が漢方薬に使われ、高価で売れることから密猟や密輸が横行。世界で五千頭前後にまで数が減り、絶滅が心配されている。中国、韓国など主要な消費国は法律で漢方薬などの販売を禁止した。日本もワシントン条約でトラ製品の輸入は禁止しているが、過去に合法的に輸入された在庫などがあるため、国内の販売は認めている。                           

環境保護団体の調査で首都圏や関西地区でトラの漢方薬や強壮剤、ペニスなどが広く売られていることが指摘され、販売禁止を求める声が強まっていた。                    

環境庁野生生物課は「調査団の来日までに販売禁止などを含め前向きな対応策をまとめたいが、健康食品として薬局以外で売られている製品の販売ルートの把握などが難しい」と話している。[1999-11-01-14:17]


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