99/10/10 競輪開催の自治体、収益悪化で上納金減額運動 つれない通産 共同通信ニュース速報

競輪を開催する地方自治体の間で、売上金のうち一定割合を、社会福祉などのため日本自転車振興会などに納める制度の見直しを求める運動が活発化している。「景気の低迷から売り上げが大幅に減少、収益が悪化している」というのが理由。          

前橋、熊本など競輪開催地の三十九市の市長が国や国会議員に強力に働き掛けるため、今年八月に「全国競輪都市協議会」を結成。今月六日には所管の通産省に“上納金”の減額など改善策を申し入れた。                           

同省は「刑法でギャンブルは禁止されているが、社会に還元するということで、免罪符になっているのに今さら何を言っているのか」と、見直す気配は全くない。国会議員らにも表立って支援する動きはなく孤立無援の状況だ。                 

競輪の売上金は自転車競技法に基づき、七五%が勝者投票券(車券)の的中者への払戻金。三・七%を社会福祉、医療、スポーツ関係などの公益法人に助成する日本自転車振興会に、一・六%を競技の審判などを委託している開催地の自転車協議会に納める制度をと

っている。このほかに選手の賞金や競輪場で働く人たちの人件費といった開催経費もあり、開催自治体の収益は平均で売上金の約三%(一九九八年度)。                     

全国の競輪売上額は一九九一年度の一兆九千五百五十三億円をピークに減少。九八年度は一兆四千四百九十七億円にとどまり、開催した八十自治体(複数自治体による組合を含む)のうち三十二自治体が赤字だった。                      

全国競輪都市協議会事務局の大阪府岸和田市は「開催をやめたくても働いている人の退職金や再雇用のあっせん、売店への補償などの問題がありできないのが現状。中には収益が赤字でありながら納付するため金融機関から借金している自治体もある」(同市公営競技事務所)と窮状を訴える。                 

これに対し通産省は「民間ではリストラが進んでいるのに、車券売り場で働く人の賃金が毎年のように引き上げられるなど開催経費は膨らむ一方。経費削減に努力するべきだ」(機械情報産業局)と、逆に自治体側に改善を求めている。 [1999-10-10-15:17]


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