99/6/27 ◇連合奈良の海外視察を公費で半額補助 奈良県◇朝日新聞ニュース速報

連合奈良(浜上和康会長)加盟労組の役員らが欧米などを訪れる「海外労働事情調査団」の経費の一部を、奈良県が20年以上にわたって補助していることが6月26日、わかった。少なくとも1994―99年度は毎年、16―18人分の費用の半額にあたる580万―640万円、計3780万円を支出している。県は「県内企業などと労働組合との労使関係が安定する」などと説明しているが、市民団体は「公的団体以外の視察に補助金を出すのは憲法違反だ」と批判している。

県によると、全日本民間労働組合協議会(全民労協)の奈良県内の組織・奈良地方民間労働組合連絡協議会の海外視察費を77年から補助したのが始まり。その後、連合が発足して、奈良の協議会は連合奈良となり、補助もそのまま引き継がれたという。

朝日新聞社が同県情報公開条例に基づいて入手した資料によると、今年度は「国際ボランティア活動のあり方、環境・労働問題を実地調査する」目的で、電機連合、自治労など連合加盟の奈良の組合関係者18人が、5月24日から6月3日まで、エストニア、リトアニア、ポーランドを訪問。総額1280万円のうち県は640万円を前払いで補助した。柿本善也知事名で、参加者が所属する会社へ派遣に協力を求める文書も送っている。

97年度は、ポルトガル、モロッコ、スペイン。県は食費158万4000円、現地懇談会費101万3000円を含む1280万円の総経費のうち、やはり半額を補助。96年度は米国、メキシコ▽95年度は米国本土とハワイ▽94年度は米国東海岸とカナダで、それぞれ640万―580万円を補助していた。

訪問先では、労組や社会福祉施設、工場などを視察し、帰国後にA4判約30ページの「視察報告書」を県へ提出しているが、ユニバーサルスタジオなどの娯楽施設や遺跡、フラメンコショーなども見学している。

県は「経営側の意識変革に対応できる幅広い考え方を形成してもらうためで、労使関係の安定につながる。広い視点からの意見や要望を県の施策へも反映させている。支出は適正だ」とし、浜上・連合奈良会長も「報告書も提出しており、成果を運動の中で生かしている。苦情が寄せられたことはない」と話している。

全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は「公金の公的団体以外への支出を禁じた憲法八九条に違反している。一部の労組が公費の補助で観光旅行の要素が強い旅行に行くのはおかしい」と批判。

連合(東京)の田中光雄・国際政策局長も「地方組織の海外視察の実施状況は把握していないが、労組関係者だけの視察に補助金をもらうというのは、あまり聞いたことがない」と話している。[1999-06-27-03:11]


(個人的なコメント)労働貴族と言われてきたが、行政から旅行費をもらって視察するようでは、労働者の立場で、組合員の正当な権利を追求する見識は得られないでしょう。視察報告書は出せばよいというものではなく内容が問題です。労働団体としての視点から市民が納得できる内容を公表しなければ報告書は隠れ蓑にしかすぎないことは明らか。今なら、インターネットで過去20年間の視察報告書の内容がどの程度のものか公表したらどうでしょう。

まず、組合費で、飲み食いするたかり行為を労働貴族にかぎらず、組織の役員はやめるべきです。交際費の浪費に慣れ親しんだ?労働幹部が、人事部に抜擢されて会社内で出世するという組合員を踏み台にした異常な構図が、まだあるのでしょうか?


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