99/6/5 ◇社内ネットで社員の新商品企画案を募集し論議 シャープ◇朝日新聞ニュース速報

シャープは、専門外の平社員も含め、社内のネット上で新商品の提案を受け付けて議論し合う新たな商品開発の手法に取り組んでいる。家電品の市場が成熟化する一方、通信技術など周辺技術は急速に進歩するなかで、事業部の枠を超えて門外漢の社員も巻き込むことで、ヒット商品の開発に結びつけようという作戦だ。

この商品企画のネット上での募集は、町田勝彦社長の提案でこの春からスタートした。対象は、海外駐在も含めた3万5000人の社員。社内向けのホームページに設けた「あったらいいな」というコーナーに、事業部の要望をもとに「デジタルホワイトグッズ(白物家電)」や「ホームPC(家庭用パソコン)」などの項目を立て、社員はそこに自分の着想を書き込む。これに対し、参考情報の紹介や反論などによって議論を重ねる仕組みだ。

アイデアが煮詰まった段階で、中心となった社員が、ネット上から自分のパソコンに取り込んだひな型を使って企画書をまとめる。その中から毎月5つほどの企画を経営会議にかけ、有望な案は、事業化を最終判断する戦略会議の議題となり、町田社長ら32人の経営首脳の前で構想を発表する。

こうした仕組みを採り入れた背景には、素人に近い発想を生かさないと、本当に使いやすく、売れる商品は生まれないとの考えがある。技術部門を担当する河田亨常務は「技術系の社員は、すぐに商品化の筋書きを考えることで自ら限界を設けてしまう面がある。他部門の社員から提案を受けることで、技術者の常識を乗り越えようとする努力を生み出す効果がある」と説明する。

すでに1000件を超える提案や意見が集まった。冷蔵庫内を見回って、食品の傷み具合を監視するカメラなど、「白物」家電をネットワーク化しようという提案が目立つという。[1999-06-05-23:12]


記事と論評のページに戻る  最初のホームページに戻る pf4m-atm@asahi-net.or.jp