99/5/20 リストラで半数が巨額赤字 大手商社8社の3月期決算 共同通信ニュース速報

大手総合商社八社の一九九九年三月期決算が二十日、出そろった。不採算取引の圧縮、人員削減などのリストラや評価損を抱えた有価証券の処理に伴う特別損失の発生などで、当期損益段階で日商岩井、住友商事、ニチメン、丸紅の四社が巨額赤字を計上、三井物産と三菱商事も二けた減益となるなど、厳しい決算となった。特損の総額は六千九百十六億円と、経常利益の合計額三千四百億円の二倍以上に達した。                       

国内外ともにデフレ色が強まる中、取扱高の大きい原油など国際商品市況の下落が追い打ちをかけ、売上高は全社が二けた減少を記録。収益環境悪化に対応するため、資産リストラでウミを出し切り、生き残りを目指す各社の姿勢が鮮明になった。        

当期赤字は、日商岩井五百四十二億円、住友商事二百三十五億円、ニチメン二百九億円、丸紅二百億円。日商岩井は財テク失敗に伴う損失千九百十二億円が収益を圧迫し、初の無配に転落。住商、丸紅は経済混乱の続くインドネシア向け債権の一部引き当てや赤字関係会社の整理に要した費用、ニチメンは有価証券含み損を一掃したことが、それぞれ響いた。                  

伊藤忠商事、トーメンの二社は当期損益が黒字化した。前の期から大規模なリストラに手を付けており、大きな損が出なかったため。                             

二○○○年三月期の見通しは、九九年三月期赤字だった四社が黒字化を予想しているが、三井物産、ニチメンを除く六社が減収となるなど、本業の業績回復は遠い。三菱商事は当期損益ゼロで過去最悪の決算となるが、これにより商社の中で先陣を切る形で、年金と退職金の積み立て不足を向こう二年間で解消する。       

大手商社は従来九社だったが、先に兼松が抜本リストラに伴い専門商社への移行を表明したため、今回から八社となった。[1999-05-20-19:22]


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