99/5/18 売れてます、失業マニュアル本  読売新聞ニュース速報

失業率が過去最悪を更新し続けるなか、会社で退職を迫られたときに気をつけるべきポイントや、雇用保険の仕組みなどをまとめた「失業本」が相次いで出版され、人気を集めている。いずれもマニュアル好きな二十代から三十代の若者向けに、漫画やイラストを添えた軽いタッチが特徴だ。

その名も「おいしい失業生活マニュアル」という本を著わしたのはフリーライターの日向咲嗣さん(40)。 四年ほど前、失業した知人が、都道府県運営の技術専門校に通いながら再就職に成功。公共職業安定所を通じて専門校に入校した場合、授業料は無料で、卒業まで失業保険の給付が延長して受けられることを知った。自らが二十代で失業生活を送ったときには、そうした制度の存在を知らなかったため、「重要な仕組みが知られていない」と感じたという。

著書では、こうした再就職支援制度について説明しているほか、雇用保険の仕組みや、退職後の保険や年金の切り替え手続きについて説明している。

出版元の明日香出版によると、昨年十二月に出版されてから四万五千部と好調に売れている。同社では、バブル入社の三十代前半までを読者層に想定したが、「リストラにあって途方に暮れたが、助けられた」という四十代男性からの感想も寄せられた。

情報センター出版局の「やばい会社のリストラ・失業お助けマニュアル」は三か月あまりで三万部、社会保険労務士の資格をもつ著者の「おいしい退職生活マニュアル」(こう書房)も四万部を売った。労働基準法や労働組合法など労働法の基本的な知識から、労働基準監督署や労政事務所など行政機関の利用方法について漫画を使って軽いタッチで説明している。

“失業マニュアル本”の人気について、出版社サイドは「人に聞きづらい深刻な問題にわかりやすくこたえた点が大きいのでは」と分析する。

完全失業率は昨年十一月から「過去最悪」を更新し続け、今年三月時点で4・8%。完全失業者は三百三十九万人に達している。[1999-05-18-10:53]


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