99/3/23 〈転機〉内藤由治氏ポッカコーポレーション社長 共同通信経済ニュース速報

▽鍛えられた欧州勤務▽体当たりで危機克服

「お前みたいな若造に何が分かる」。ソニー社員だった29歳の時、法務部員として欧州へ赴任し、いきなりフランス事務所のマネジャーを任された。十数人の部下はみな自分より年上で欧州経験も長いベテランばかり。何も知らない若年の上司に反発も強かった。

新卒で入社して7年目。淡々と仕事をこなし「特に積極的でもなかった」内藤さんには初めての試練だった。何をやるにもまず言い争いの連続。「こっちは好きで上司になったんじゃない」と開き直り、年齢を忘れて体当たりで仕事に向かった。

「法務の専門家なら弁護士でいい。自分は経営を身に付けたい」と思い始めたのもこのころ。フランス法人の業績が傾いた際には、経営陣の一人として現地従業員を4分の1に減らす大リストラを断行。社員を鼓舞して回復軌道に乗せ、危機を脱した。「欧州でのこうしたさまざまな経験が、自分を変える大きな契機になった」と語る。

こんな仕事ぶりを陰で見つめていた、義兄で食品メーカー・ポッカ創業者の谷田利景現会長の誘いで、13年前同社に転職。昨年谷田氏の後を継いで社長に就任した。

「これからの日本企業に必要なのは欧州式の合理的経営」が持論。ポッカを若い人に活力を与える新時代の会社にしたいと、全社員へのパソコン配備や、社員の権限や役割分担を明確にするマニュアル作りなど、多くの改革に取り組んでいる

「社員の意識変革はまだ途上。私の仕事は緒についたばかりです」と話す口ぶりに、厳しい時代のトップの責任感をにじませた。52歳。愛知県出身。[1999-03-23-14:14]


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