99/03/16 原田熊本大助教授が退官へ 福祉から水俣病再研究 共同通信ニュース速報

胎児性患者などの水俣病研究や患者救済に取り組んできた熊本大医学部の原田正純助教授(64)=精神神経医学=が、定年まで一年残し三月末で退官。四月からは熊本市の熊本学園大社会福祉学部教授に就任。環境論などの講義を担当する。          

原田助教授は「水俣病研究は医学など専門の枠に固執していては駄目。移籍を契機に、福祉をはじめさまざまな視点からもう一度研究したい」と話している。                  

同助教授は大学院生時代から、胎児性水俣病の研究や未認定患者の発掘などを進めるとともに、行政や企業の責任を追及、患者の早期救済を訴えてきた。                    

ブラジルやカナダなど海外の環境調査にも積極的に出掛けて水俣病の疑いのある患者を発見。また、一九六三年の三井三池炭鉱爆発事故による一酸化炭素中毒者など、労災問題にも取り組んだ。  

こうした功績が評価され、九四年に環境保全に貢献した人に贈られる国連環境計画(UNEP)の「グローバル500賞」を受賞している。[1999-03-16-08:10]

個人的なコメント

水俣病の歴史と報道をみると、企業と厚生省と医学界というものがいかにでたらめであったのか、その中で、キラ星のごとく光る人物が医師や技術者や運動家の中に現れました。

専門家と称する人の意見を鵜呑みにする時代は過去のものとしたい。専門家は専門用語を隠語として使用し、手に入れた医学・治療データや行政の施策方向を非公開として、一般市民に知らせないで、そっと仲間内の専門家だけで行うことをよしとしてきています。

医学部の図書館が、一般人には非公開なのがその一例です。一般人でも、その病気について資料を手に入れて勉強すれば、その病気に関しては通常の医師以上になれます。図書館非公開はその手段を奪っているのです。また、行政の施策の方向性の細かい点は、市民に公開しなことが行政の仲間内の了解事項です。それに伴う施策の実行責任を問われないように、またその利権は一部の首長や市議・県議の後援会や地域の有力者に情報として流されます。このような施設を作りたい、ここに道路をいつ頃つくりたいという情報は、土地の先行取得や工事の受注には欠かせないものです。そのお返しは選挙で人・お金を出す、選挙用の土地を貸すという構造です。

選挙には、企業からの政治献金は禁止して、政治資金は税金から全額支給すべきです。汚職コストは、結局は国民の税金に跳ね返ってくるからです。

専門家の中の声の大きい者・派閥の長による被害の最たる例が、血友病治療の第一人者安部英だった。厚生省も医学部教授の部下も、誰も彼の意見にさからえなかった。その結果、2000人以上のエイズ感染者をつくり、1000人の幼い大勢の子供を含む死者を出して恥じない専門家集団という血液学会とは何なのだろうか?その後、医師の中にも声を出す者がでてきた。

中央官庁は早期退職制度などで、利権構造の頂点に立つ制度です。そのツケは高コストとなって国民に負担を押しつける構造となっており、そのため企業活動も高コスト構造のために世界から取り残されようとしています。利権構造を放棄するような構造改革が中央官庁自身ではとれないのです。規制・規制で、個人のベンチャー企業の発展の素地がありません。規制も利権構造の一環です。

なにより、個人の自由な発想や発言を封じ込めるような職場雰囲気になっています。サラリーマン根性を植え付けられ、行政マンも会社人間も上司の言いなりでは、新しい施策や社会の改革はできません。しかし、最近は厚生省も審議会レベルで理想的な答申や施策をつぎつぎと打ち出してきています。それに市町村が対応できていないというのが実状です。一部行政マンには、意欲があっても全体としてはすすめない行政構造があるようです。意欲ある行政マンの支援には情報公開が欠かせません。

原田熊本大助教授が退官して、幅広い活動を開始したのも、医学部の旧態依然とした派閥構造から脱出したものと推察します。

医学部ほど足の引っ張り合いのひどい、教授や派閥のボスに絶対服従の組織はないでしょう。一部、医学部教授の純粋な公募制などを採用するところもありますが、大学による広域病院の奪い合いが終始行われていて、特に、都内では同一病院内で外科系は東大閥、内科系は慶応閥などのぶんどり合戦です。そのため、院内の診療科の間の情報連携がスムーズにおこなわれず、患者に二重投薬などが日常的に行われる危険にさらされています。特に大病院や中堅病院では、複数科にかかるときは患者は自分で薬を調べる必要があります。

まずおかしいと思ったことは、できるだけ多くの情報を集めてみる。そして自分なりの意見を発表して、おかしいところ、認識の足らない点を指摘してもらうことが大切です。しかし、指摘してくれる人はほとんどいません。専門家に対して疑問を持つものに対しては、無視が一番の対策だからです。そのため、個人的な努力を長く続けなければならなくなります。

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