99/03/23<特報・昭和大病院>大部屋希望の患者から差額ベッド代徴収 毎日新聞ニュース速報

昭和大学病院(藤巻悦夫病院長、東京都品川区)で一昨年と昨年、大部屋を希望する患者2人から「個室以外に部屋がない」などの理由で約274万円と約99万円の差額ベッド代を徴収していたことが、22日わかった。同病院は患者からの抗議を受け1人に差額ベッド代を返還していた。厚生省は個室病室などで生じる差額ベッド代の徴収は患者が個室などを希望した場合に限るよう医療機関を指導している。医療関係者によると、関西などでも同様の事例があるという。同省は「法令上好ましくない」として東京都を通じ、同病院の調査をする意向だ。

患者側の話では、1997年2月25日、救急車で運ばれた東京都目黒区の女性(当時53歳、昨年5月死亡)の家族が大部屋を希望したのに、同病院の職員から「1日2万円の個室しかベッドが空いていない」との説明を受け、仕方なく2月27日から個室を利用した。同年4月初めに再度、大部屋への移動を申し出たが断られ、同年7月7日まで利用。計131日分の差額ベッド代約274万円を支払った。

厚生省通知によると、差額ベッド代の徴収は患者側が個室などを希望した場合に限られ同意書を取るよう指導している。治療上の必要で個室に入ってもらったケースでも徴収してはならないとしている。

この通知を知った家族は昨年7月、「個室は希望しておらず、同意書も書いていない」として文書で抗議。病院側は昨年8月、差額ベッド代全額を返還した。同病院は「患者側の意思に沿っておらず、徴収に不備があった。担当教授を通じ謝罪した」と話している。

また昨年10月、救急車で運ばれた別の女性(82)の家族によると、大部屋を希望していたのに、職員に「1日3万3000円の個室しか空いていない」との説明を受けた。仕方なく「大部屋が空けば移してほしい」と記したうえ、個室料支払いの同意書にサイン。10月5日〜11月3日の30日間で約99万円の差額ベッド代を徴収された。入院後、大部屋に移すよう申し出たが、感染症がみられたことや、他に部屋がないことなどを理由に個室のままで、11月4日にようやく大部屋に移された。

同病院によると、女性の入院中、新設の病棟(約30床)に空きベッドはあったが、職員が病棟に不慣れで女性を移せず、旧病棟も、空きはあっても一定の部屋を確保するのが難しく移せなかった。同病院は「空き部屋はあり通知違反と言われればその通りだが、患者のために動かさなかった。感染症がなくなってから大部屋に移した」と話す。

厚生省医療課は「両ケースとも患者が個室を希望したとは言い難い。病棟の新設や患者の感染症などを理由に個室に入れたのが事実なら差額ベッド代を取ってはならない。法令上好ましくなく、違法かどうか、調査したい」としている。 【斎藤 義彦】[1999-03-23-02:08]


個人的なコメント

患者が個室を希望しない場合は、個室等の差額ベッド代を徴収してはならない、などという通知は知らなかった。救急で入院した感情的の動揺した弱い立場の患者は、何を言われても病院の職員の言うがままだろう。要点を整理すると

つまり、病棟の新設や患者の感染症などを理由に個室に入れたのなら差額ベッド代を取ってはならない


続報

99/03/26 <特報・差額ベット>都の代金返還指導後にも徴収 昭和大病 毎日新聞ニュース速報

昭和大学病院(藤巻悦夫病院長、東京都品川区)が、大部屋を希望する患者2人から「個室以外に部屋がない」などの理由で差額ベッド代を徴収していた問題で、東京都が昨年7月、このうちの1人について差額ベッド代の返還を指導していたにもかかわらず、2カ月余り後に、もう1人からも徴収していたことがわかった。都は「指導したにもかかわらず、問題のある徴収を行っていた可能性もある」として、改めて同院から事情を聴き、調査に乗り出した。

都保険医療課は24日夕、同院の担当者を都庁に呼び、患者から同意書をとっていたか、どのような理由で個室になったか、などを聴き、資料提出を求めた。

患者側の話では、同院は一昨年、東京都目黒区の女性から同意書がないまま差額ベッド代約274万円(131日分)を徴収した。同課によると昨年7月、同院が女性の親族から抗議を受け、同課に相談してきた際、「同意書がないなら返還すべきだ」と指導。同院は昨年8月、差額ベッド代全額を返還した。

ところが指導から2カ月余り後の昨年10月、同院は別の女性が大部屋を希望していたのに、約99万円(30日分)の差額ベッド代を徴収した。女性の親族によると、差額ベッドの申込書に「大部屋が空けば移してほしい」と明記再三移すよう申し入れたが、感染症などを理由に個室のままだったという。同院によると、女性の入院中、新設病棟などに空きベッドがあった。

厚生省通知は、差額ベッド代の徴収は患者側が個室などを希望した場合に限られ、同意書が必要としている。治療上の必要で個室に入れたケースでも徴収してはならないとしている。

同課は「徴収ルールの徹底を指導したのに、再びおかしな徴収が行なわれていた可能性もある。資料をよくみて今後の対応を決めたい」と話している。 【斎藤 義彦】

[1999-03-26-14:05]


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