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パンで呼吸困難・ハムでも発症宮城県内の「そばアレルギー」のある20代の女性は今年3月、調理パンを食べ、即時型アレルギー反応のアナフィラキシーを起こした。病院に運はれた時は全身に紅潮や浮腫があり、呼吸困難で声が出せない状態だった。
治療に当たった同県塩釜市の坂総合病院小児科科長・角田和彦さんが、調理パンに使われていた粉コショウの製造元に確認したところ、増量剤として「そば殻」が混じっていた。表示はなく、パン店も知らなかったという。表示があっても分からない例もある。垂泉都世田谷区の小児科医・三宅健さんによると、ある母親はソーセージに表示されたカゼインナトリウムが牛乳たんはくの一種だと分からず、牛乳アレルギーのある子どもに食べさせ、子どもがおう吐した。
また別の牛乳アレルギーの子どもは、「たんばく加水分解物」と表示された調味料の入ったハムを食べ、せき込みとじんましんを発症した。
製造元などに問い合わせ、たんばく加水分解物の原料には、牛すじや烏がらのたんばくが使われることが多く、まれにカゼインも使われると分かった。たんばく加水分解物は、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)に従った表示ではあるが、三宅さんは「それを理解できる人がどれだけいるだろうか」と疑問を投げかける。
患者団体でつくる全国組織「アレルギーの会全国連終会」は5月末、微量の添加物や原材料のすべての表示などを求める請願書を厚生省に出した。請願書を提出した一人で、市民団体「アレルギーネットワーク」 (名古屋市)事務局次長の福田紀子さんは、長男がクリームシチューの湯気に含まれた牛乳成分でアナフィラキシーを起こした経験を持つ。「ごく微量でも表示は必要」と訴える。
こうした現状を背景に、厚生省の食品衛生調査会の表示特別部会は今年春、「アレルギー物質について表示を義務づける必要性がある」とする報告をまとめた。
国際的にも、国連機関の合同食品規格委員会(コーデヅクス委員会)が今年、量にかかわらず表示するアレルギー物質のリストに合意した。
国内ではJAS法が7月に改正され、農水省も来年4月には、原材料などの表示義務を指定の品目からすべての加工食品に広げる。
厚生省では、今後決まる農水省の表示基準やコーデックス委員会のリストなどを参考に、日本に合った表示方法を検討するとしているが、微量成分がどこまで対象になるかは微妙だ。
アレルギー治療に詳しい神戸市の東神戸病院小児科医師、森岡芳妊さんは、「全原材料の表示が理想だが、より現実的に、表示すべき物質のリストを作る方式も否定しない。大切なのは、誰のための表示かということではないか」と話している。
メモ食物アレルギーの症状には、じんましん、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、下痢などがある。
とりわけアナフィラキシーは、呼吸困難や心機能低下、全身の浮腫、紅潮などが重なる。ショック在どを伴う重症の場合は、命にかかわることもある。厚生省によると、重症の原因物質としては、小麦やそば、エビ、貝、ゼラチン、牛乳、キウイ、サクランボ、モモなどがある。
重症に至らなかったものも卵など20種類以上ある。一方、1997年に実施した幼児から成人まで2万人の調査では、7.3%に食物アレルギーがあった。
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