谷崎潤一郎原作。
資産家御曹司の許へ嫁いだ元キャバレー・ダンサーが、神経痛で老期を早めた夫の父の寵愛を受け、その美しい姿態を武器に、この老人から次々と資産を搾取してゆくのだが、老人の彼女への愛慕はもはや、医者をして「異常性欲」と呼ばしむるほどに止まることを知らず、遂に自らの墓石に仏跡石に模して刻もうと彼女の足拓を取り、それに包まれて狂気をいよいよ増して行く姿を描く。
山村演じるエロ老人はちょっと真面目過ぎる感があるが、風貌のミスマッチは演技力でカバーし、老いて盲目の恋に身を焦がす狂気の老人像を計算高く演じている。
対する若尾は、資産家宅を食いものにする雌狐ぶりを増村監督伝授のふてぶてしい演技でのびのびと演じ、文句無し。「痴人の愛」同様、ホルモンの虜になってすべてを失って行く男の姿は、哀れでもあり、羨ましくもあり、実に魅力的である。
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