ほぼオール日本人キャストによる古代中国・秦の始皇帝の偉大にして苦悩に満ちた生涯を描く歴史絵巻。大映のオールスターキャスト総出演は圧巻だ。
諸侯の支配する小国が割拠しての戦乱の世に、そして民の苦難に終止符を打つべく、辺境の矮国・秦の若き王・政は決起し、勇猛で統制の取れた兵力によって瞬く間に諸国を平定・服従させ、世界最初の統一大帝国・秦を興し、自ら始皇帝と名乗った。その後も平和に安住せず、北の蛮族・匈奴の侵入を未来永劫防ぐべく、世界に類を見ない万里の長城の建設に着手。次いで南北の大河を結ぶ運河の建設にも着手する。百年後、千年後の民の幸福を願ってのこうした大事業も、結果的には民に10年を超える過酷な労働を強いることとなり、現世利益しか考えない民の心は次第に始皇帝から離れてゆく。
こうした過程がきめこまかく描かれていて、まるで日本の歴史を題材にした大河ドラマを観ているような錯覚に囚われる。中国の歴史を日本人が演じているという違和感は全く感じられない。見事な出来映えだ。
若尾姫は、焚書坑儒(皇帝による中央集権と、郡県制・官吏制度という始皇帝による新しい支配形態に異議を唱え、旧来の諸侯による親政への回帰を解く儒教学者たちの言論を封じ込めるために、儒教の書物をすべて焼却処分したという有名な政策)を逃れて屋敷に迷い込んだ儒学生と結婚し、逮捕され長城で人身御供となった夫を訪ね当て、嵐を呼んで長城を破損させた罪で死罪となるも皇帝に許され、しかしその免罪を拒否して自害を遂げるという、反骨の象徴的な役柄を演じる。
|