トーキー。イタリアの文豪ルイジ・ビランデルロの戯曲の映画化。日本公開は1933年。
男「ぜひお食事でも」
女「おなかはいっぱいよ」
男「・・・」
女「でも、のどは乾いてるわ」
冒頭部分、酒場の歌手ザラと彼女に言い寄る男のこのしゃれた会話でいとも簡単に映画の世界に引き込まれてしまうこの物語、しかし、彼女を「マリア」と呼びかける男の登場で、展開は思わぬ方向に複雑化する。戦争で記憶を失っている彼女、実は伯爵夫人だと言うのだ。半信半疑のまま情夫の許を脱出し「かつての夫」の邸宅に。蘇らぬ記憶と居心地悪さに戸惑う彼女だが、「夫」の優しさと愛に満たされ、次第に彼を改めて愛し始める。その矢先、情夫が彼女の存在を揺るがす証拠を携え乗り込んで来た。去ろうとするザラ。それを引き止める「夫」の一言が素晴らしい。そしてこの瞬間、彼女はマリアとして生まれ変わった・・・
70分余りと短いが、サスペンスと愛憎劇が凝縮され、バーグマンとディートリッヒを足したような貴俗併せ持つガルボの美しさが見事に生かされた名作。
ちなみに、共演のシュトロハイムは、ガルボ自身がファンであったという。
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