本を長持ちさせる保存環境
- 酸性紙
- 近代製紙技術によって作られた紙のほとんどは製紙過程で加える硫酸アルミニウム等によって紙の酸性化が進みます。
- 酸性紙の劣化は化学的なものなので、大切に扱っていても紙の内部から劣化していきます。
- 製本方法
- 最近は糸を使わずに接着剤だけで製本した本があります。
- これらの本はページが外れたりするなど壊れてしまう場合があります。
- 温度と湿度
- 温度と湿度の急激な変化は紙を劣化させる大きな原因になります。
- 本を保存するのに適切な温度は18〜22度、湿度は45〜55パーセントと言われています。
- 紫外線
- 本の背表紙が変色するのは、太陽光や蛍光灯の中に含まれる紫外線の影響です。
- チリ、ホコリ、虫、カビ
- 本に積もるチリやホコリは酸性劣化を促進させます。
- また、虫やカビなどの微生物はチリやホコリ、本を読むときに着く手の油などを養分として繁殖し、紙を劣化させます。
本の保存
図書館などの保存対策では、酸性紙は脱酸処理を行う、温度と湿度をいつも一定に保っておく、紫外線防止フィルムを窓に張り、紫外線防止用の蛍光灯を使うなどの方法がとられます。
しかし、一般の家庭でこのような事はできません。また、自宅で読んでる本は図書館に比べると使用頻度も少なく、古い図書も少ないので神経質になる必要はありません。本が傷む原因を知った上で大切な本をいつまでも読むために出来る事を考えましょう。
- 本棚の位置
- 紫外線がよくないのだから当然直射日光の当る場所は避けましょう。
- 窓際も、結露などで湿度が上がるので避けたほうがいいでしょう。
- 本の扱いに注意する
- まめにホコリをはらいましょう。
- きれいに保存しておきたい本を読むときは手を洗ってから、飲食しながらの読書は避けましょう。
- 付箋紙、クリップ、輪ゴムなどを挟んだままにしておくと、そこから紙が劣化していきます。
- 酸性紙のしおりを長期間挟んだままにしておくと、接触面の本紙を変色させます。しおりの紙質にも注意しましょう。(*)
- 保存容器に入れる
- 中性紙で作った保存容器に入れることによって、温度湿度の変化を緩和させ、チリ、ホコリ、紫外線などから守ります。
- 酸性紙の容器に入れてしまうと接触面の紙の酸性化を進めてしまうので紙質には注意しましょう。(*)
- #一般家庭で保存容器に入れるような本は子孫に残したいような本でしょうか(^^;
- #図書館などではこんな方法もとられているというご参考までに(^^;
- (*)中性紙の見分け方
- 見た目だけでは中性紙と酸性紙の見分けは着きません。中性紙チェックペンというものもありますが、燃やしてみると中性紙の燃えかすは白く、酸性紙は黒くなります。
- 身近な中性紙にはコピー用紙があります。
- ダンボール箱などに入れて押入れにしまう場合
- 本棚に納まりきらなくなった捨てる事の出来ない本をしまう場合、ダンボール箱の紙は中性紙ではないので長期間の保存は避けたほうがよいでしょう。最近では布制の文庫本、新書ケースなどもありますのでそちらを利用するという方法もあります。
- 保存する際には湿気に注意しましょう。乾燥剤をいれるなどの方法が考えられます。