参考文献 その2

 依然としてサンリオSF文庫のすべてを詳解してくれるような便利な本は存在しません。以下はここ数年で私が入手したその後の参考文献です(新刊書、古書を問わず)。
 かなり細かい記述や書影のみ掲載した本も取り上げており、資料的価値はあまり高くないものも混ざっています(順不同)。

現代SF1500冊 乱闘編1975〜1995 大森望著 太田出版 2005年
 サンリオSF文庫の創刊から廃刊まで、当時の出版事情をふまえた大変貴重な内容。大森氏は創刊当時高校生だったとのことで渦中にいたわけではないのでしょうが、当時の状況の一端をうかがわせる興味深い証言です。
 玉石混淆の内容について、「おそらくイギリスのニューウェーヴ系SF雑誌や研究書などで評価の高い本をかたっぱしから候補に挙げ、サンリオ側が見ずてんでかたっぱしから版権をとったのではないか」と推察しています。
 また「初期は佐藤守彦氏、途中から西村俊昭氏が編集を担当。サンリオSF文庫カバー裏の内容紹介のうち、鬼面人を驚かすような文章は、主に佐藤氏の作品だったらしい」とのこと。

SFベスト201 伊藤典夫編 新書館 2005年
 「本書は1970年代前半から2000年まで、20世紀に日本で刊行された翻訳SFの名作を厳選、多面的に解説したものである。」とのことで70年代から網羅したおかげで、サンリオSFの作品が書影付きで14冊取り上げられています。サンリオ以外にも入手困難本が多数で、翻訳SF普及の困難さがうかがえます。

現代SF最前線 森下一仁著 双葉社 1998年
 1983年から1997年までの内外のSFを評した700ページを超える大作。サンリオSFは書影付きで9冊紹介。

怪奇幻想ミステリ150選 千街晶之著 原書房 2002年
 「多様化する戦後の幻想ミステリ」と題する章の中で「キングとジョーカー」「深き森は悪魔のにおい」「蛾」が書影付きで登場。いずれもかねてからSFよりもミステリとして評価の高い作品です。

モダン古書案内 昭和カルチャーの万華鏡「古くて新しい」本のたのしみ マーブルトロン発行 中央公論新社発売 2002年

「サンリオSF文庫にはカルトなSF/サイバーパンクの魅力がつまっている」 柳下毅一郎著

 わずか2ページのガイドレビューながらもサンリオSF全体から個々の作品に触れてあります。4作品について書影つきで紹介。

ブック・イン・ピンク おしゃれ古本ガイド 山崎まどか著 晶文社 2004年
 いまひとつコンセプトの不明な本ですが、取り上げているのは古書的にはかなり入手難易度の高い本ばかり。サンリオSFは「スラディック言語遊戯短編集」「どこまで行けばお茶の時間」の2冊が書影とともに掲載。

悪夢としてのP・K・ディック-人間、アンドロイド、機械- P・K・ディック他著 サンリオ 1986年
 ディックについての総説ということで、当然サンリオの作品が中心。しかしサンリオSF全体についての記述は皆無で、あまり役には立ちません。ただし巻末の編記(1ページ)にはディック作品を集中的に出していく経緯が書かれています。以下その部分を引用してみます。
 <ディックの作品をすべて、「駄作」「愚作」を含めて入手しうるものをすべて出版しようと決めたのは、たぶん「聖なる侵入」を刊行した頃だったと思う。売行が良いということ(といっても、大した部数ではない)が最大の理由ではあったが、この作家ほど「駄作」「愚作」評価が当てにならない人はいなかったし(つまり他にも「傑作」が隠れている可能性があった)、SF文庫の創刊(五十三年七月)以来初めて一つの出版事業の存在理由を充当しうる作家に出会ったと確信したからだった。>

おすすめ文庫王国2004年度版 本の雑誌社 2004年
「トヨザキ社長の文庫はいったいどうなっておるのか!」豊崎由美著

おすすめ文庫王国2005年度版 本の雑誌社 2005年
「トヨザキ文庫をつくるのだ!」豊崎由美著

本の雑誌 2006年3月号 本の雑誌社
「この三十冊を挙げるトヨザキ社長が出来るまで」豊崎由美著

 豊崎氏のサンリオに対する溢れる愛をこめたコラムが3年連続で読むことができます。カヴァンをはじめ、大量のサンリオの書名を挙げて、青春時代をサンリオに捧げた叫びが伝わってきます。

本の雑誌 2004年9月号 本の雑誌社
 特集「汗と涙の本売り体験!」

西葛西にドナドナが響いた日(堺三保氏の蔵書処分取材)

古本血風録(落日編) kashiba@猟奇の鉄人著

 両者とも本売り体験の話。堺氏はサンリオ140冊を処分して6万円だったそうです。ちなみに値付けの基本は売値の三分の一で、「ヨナ・キット」は1500円の買い取りで5000円前後の売値とのこと。
 kashiba氏は高騰著しいのが「ハローサマー、グッドバイ」で「生ける屍」と並んで五桁に迫る値付けと紹介してあります。

(付録)こんな雑誌広告をみつけました。創刊第二弾刊行時のようです。創刊時のものも探してみます。
サンリオSF文庫の部屋