2003年2月


「T.R.Y 華麗なる賭け」

 大森一樹監督、井上尚登原作、織田裕二、渡辺謙、黒木瞳、邵兵、孫暢敏 。
 舞台は清国崩壊寸前の20世紀初頭の上海。詐欺師の伊沢(織田裕二)は武器商人の黄大奇から命を狙われる。清国打倒を目指す中華黎明会の関飛虎(邵兵)は革命に協力することを条件に伊沢をかくまう。関の計画は日本陸軍の東正信陸軍中将(渡辺謙)から大量の武器弾薬を騙し取るというものだった…。

 原作のコンゲームのややこしさを、多少なりとも判りやすくしているのは大森一樹の手柄ではあるけど、ややこじんまりした印象。コンゲーム特有得のあっと驚く展開は無い。予算の少なさが画面から伝わるのが情けなく邦画の限界を感じる。どんな時代のどんな場所でも、織田裕二は織田裕二のスタイルというのは、ある意味凄い役者ではあるが、まるで浮いている。せめて髪形ぐらいなんとかして欲しい。

→ 原作「T.R.Y」感想


「13階段」

 長澤雅彦監督、高野和明原作、山崎努、反町隆史、笑福亭鶴瓶、井川比佐志、大杉漣、田中麗奈、寺島進。
 傷害致死の服役から仮出所中の三上純一(反町隆史)は刑務官南郷(山崎努)から、千葉の死刑確定囚の冤罪を晴らす調査に誘われる。記憶喪失の被告樹原亮(宮藤官九郎)が思い出した記憶の断片「階段」を探し続ける…。
 
 同名原作の映画化。印象的には原作の方が面白いかが、原作でちょっと無理がある部分もそのままで残念。反町隆史はナイーブな雰囲気が上手く、予想以上にいい出来で見直した。役者はそれぞれ悪くないが、田中麗奈は取って付けたようなキャスト。

「13階段」Official Website
原作「13階段」Official Website


「トランスポーター」- The Transporter -

 ルイ・レテリエ監督、リュック・ベッソン製作脚本、ジェーソン・ステイサム、スー・チー、マット・シュルツ。
 フランク(ジェーソン・ステイサム)はどんなモノでも素早く確実に目的地に届けるプロの運び屋。フランクの守るプロの3つのルール、契約厳守、名前は聞かない、依頼品は開けないを破り、依頼品開けると縛られた女性ライ(スー・チー)だった…。

 短いのでテンポがよく楽しめる。よく考えるとかなりムチャな事が多い。アクションは007よりも、ルパン三世って感じで漫画的。でも、それな事を気にさせない軽快なテンポが全体を上手く仕上げている。やっぱり短いので奥深さというか物足りなさを感じるけど。

「トランスポーター」Official Website


「ボーン・アイデンティティー」- The Bourne Identity -

 ダグ・リーマン監督、ロバート・ラドラム原作、マット・デイモン、フランカ・ポテンテ、クライヴ・オーウェン、クリス・クーパー。
  嵐の大海原の中、イタリアの漁船に助けられた男は記憶を無くしていた。体に埋め込まれたチューリッヒの銀行の口座番号から得た手がかりはジェイソン・ボーンという名前。そして何者かが次々と命を狙い襲ってくる…。

  原作はラドラムの「暗殺者」(未読)。記憶を無くした暗殺者って設定自体が安直だし、結局、人殺しでもいい奴って事でいいのか?マット・デイモンは期待以上に頑張っているが、やはりちょっと違うという印象。ヒロインのフランカ・ポテンテも、「ラン・ローラ・ラン」みたいな弾けた味が無いのが残念。

→ 「ボーン・アイデンティティー」Official Website


「K-19」 - K19:the Widowmaker -

 キャスリン・ビグロー監督製作、ルイス・ノウラ原作、ハリソン・フォード、リーアム・ニーソン、ピーター・サースガード。

 冷戦下の1961年、ソ連原子力潜水艦K-19の処女航海の艦長に抜擢されたポストリコフ(ハリソン・フォード)、整備不良、不足、乗組員の規律は乱れる中、原子炉に問題が発生。ポストリコは、副艦長ポレーニン(リーアム・ニーソン)の米国への救助要請の進言を聞き入れず、自力での解決をはかる…。

 実話という重みがあるが、ポストリコ艦長が、任務に忠実なだけなのか、残忍なのか、沈着冷静なのか、有能なのか無能なのか、なんかさっぱり判らなかった。ともかく、無理な命令な数々はかなり怖いし、それを任務として仕方なく遂行してしまう軍人たちはかなり怖い。潜水艦ってだけで息苦しいのに、とくに原子炉の修理のシーンは目まいがしてしまう。
 後日談は余計。結局、ポストリコ艦長は正しい事をしたのか?ポレーニン副艦長の立場は?どう捉えていいものやら判らない。

「K-19」Offical Website


「イナフ」- Enough -

 マイケル・アプテッド 監督、ジェニファー・ロペス、ビリー・キャンベルジュリエット・ルイス、クリストファー・メアー、(ダン・フッターマン、テッサ・アレン。

 ウェイトレスのスリム(ジェニファー・ロペス)はある事から助けてくれた客のミッチ(ビリー・キャンベル)と知り合い結婚、ダイナーの同僚ジニー(ジュリエット・ルイス)やオーナーのフィル(クリストファー・メアー)、元恋人のジョー(ダン・フッターマン)らに祝福される。
娘グレイシー(テッサ・アレン)が5歳になった頃、暴力によって妻を従わせようとするミッチの変貌にスリムはグレイシーを連れ逃げる決心をする…。

 DVの問題は判らないでもないのだけど、最期の決め方はあんまりじゃないのだろうか。手段を選ばないというか、あまりに計画的、残虐とも言える。そこには正義はまるで感じられない。 6年以上もミッチの本質が判らないというのも不自然。途中の逃走劇はかなり面白かっただけに残念。
ところで、 ロペスはj.LO(ジェイロー)という愛称だったのか…。

「イナフ」Official Website


「赤毛のアン-アンの結婚」

ステファン・スカイーニ監督、ミーガン・フォローズ、ジョナサン・クロンビー、シュイラー・グラント、キャメロン・ダッド。

ギルバート(ジョナサン・クロンビー)と婚約し、作家になる夢を実現するためにNYへやってきたアン(ミーガン・フォローズ)。ウインフィールド出版社で得たのは編集者の仕事、人気作家ジャック・ギャリソン・ジュニア(キャメロン・ダッド)と共同執筆を行うが、ある事件から失意のうちにアンボリーに帰り結婚。まもなくギルバートが第一次世界大戦への出征してしまう…。

「赤毛のアン」、「続・赤毛のアン-アンの青春」とシリーズ化した三作目。とは言え、ルーシー・モード・モンゴメリの原作には無いオリジナル・ストーリ。NYあたりはともかく、ヨーロッパでのスパイ戦あたりは取って付けた感じだし、展開はあまりにご都合主義。ジョナサン・クロンビー始め30歳をはるかに越えている、みんな役の割には老けすぎ。プリンス・エドワード島アボンリーの自然の風景だけが唯一、心和む。

「赤毛のアン-アンの結婚」Official Website


「ビロウ」- Below

 デヴィッド・トゥーヒー監督、マシュー・デイヴィス、ブルース・グリーンウッド、オリヴィア・ウィリアムズ、ホルト・マッキャラニー、スコット・フォーリー。

第二次世界大戦中、大西洋、米軍潜水艦タイガー・シャークは独軍U ボートに撃沈された英国病院船の救助に向かうが、生存者は3名、一人は看護婦クレア(オリヴィア・ウィリアムズ)。女性は潜水艦に不吉なため、乗務員に動揺が広がる。やがて爆雷、潜望鏡の破壊、オイル漏れと事故が続き、艦内では怪奇現象が続く…。

 潜水艦モノが続いていたが、これはなかなか面白かった。閉鎖的な空間の息苦しさの艦内に、次々と襲う問題、展開が読めずに物語にはまっていく…、上手い構成。戦争モノとも、ホラーモノとも言えない不思議な印象を持った佳作。

「ビロウ」Official Website


「マイノリティ・リポート」 - Minority Report - ☆

スティーブン・スピルバーグ監督、P.K.ディック原作、トム・クルーズ、コリン・ファレル、サマンサ・モートン、マックス・フォン・シドー、キャサリン・モリス、ピーター・ストーメア、ティム・ブレイク・ネルソン、ロイス・スミス。

 予知能力社を利用した犯罪予防が可能になった西暦2054年、ワシントンD.C.。犯罪予防局の捜査官アンダートン(トク・クルーズ)は、彼自身が犯罪者として予告される…。

「A.I.」があんまりな出来だったので心配だったが、今回のスピルバーグは面白かった。時計や車、その他もろもろの細かいガジェットが面白い。未来の広告は、実際の広告を兼ねた試みらしいが、まあうまく行っているか。
ストーリとしても、複雑な所をさらりと流してエンターテイメントに仕上げているのが上手い。そもそも、どうやって罠にかけられたかというのがパラドックスっぽいが、そこが原作ディックぽくていいのか?原作は読んだ事あるのだけど記憶が曖昧なので再読せねば。

「マイノリティ・リポート」Official Website


「ハリー・ポッターと秘密の部屋」- Potter and The Chamber of Secrets -

クリス・コロンバス監督、J.K.ローリング原作、ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、ケネス・ブラナー、ジョン・クリース、ロビー・コルトレーン、ウォーウィック・デイビス、リチャード・グリフィス、リチャード・ハリス、ジェイソン・アイザックス、アラン・リックマン、フィオナ・ショー、マギー・スミス、ジュリー・ウォルターズ。

 ホグワーツに戻ってはならいという"屋敷しもべ妖精"トビーの警告を無視し、新学期を迎えたハリー(ダニエル・ラドクリフ)、"秘密の部屋は開かれたり。継承者の敵よ気をつけよ"という謎の血文字を見つける。そして、クイディッチに仕掛けられた罠、蛇の声、蜘蛛の行列、嘆きのマトール…。ハリーとロン(ルパート・グリント)、ハーマイオニー(エマ・ワトソン)はハグワーツの伝説"秘密の部屋"の謎を解き明かそうとするが…。

同名小説の映画化。小説の面白さは謎解きだったけど、映画では活劇面が重視されれている。特に、クイディッチや空飛ぶ自動車のスピード感がある映像は原作では得られない面白さ。このままテーマパークのアトラクションに使えそう(^^)。後半からはやや中だるみ。このテンポでは、上下巻「炎のゴブレット」の映画化はどうなるんだろうか?

「闇の魔術の防衛術」ギルデロイ・ロックハート先生役のケネス・ブラナーが意外に似合っていていた。ハーマイオニー役は成長しすぎて今後ちょっと心配。

「ハリー・ポッター」 Official Website
「Harry Potter」 Official Website


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