●ゲームの種類2 格闘アクション
いろいろなジャンルのゲームが発売されていった
スーパーファミコンの時代に
次から次へと現われる敵をなぎ倒すのではなく、
1対1で戦うアクションゲームが流行しました。
制限時間内に相手を倒すか、自分よりも相手の体力を消耗させれば
勝者としてラウンドクリアする『格闘アクション』です。
アーケードでヒットしていた『ストリートファイター2』の移植で
家庭用ゲーム機の世界でも一大ブームが巻き起こっています。
このタイプのシステムはとてもシンプルです。
基本は操作するキャラを選んで、フィールドで戦うだけです。
しかもフィールドは他のジャンルのゲームに比べると狭く、
トラップやアイテムなどが用意されていることも、まずありません。
1画面分ほどの狭いフィールド内で、制限時間内に相手を倒す格闘アクションは
特に男性の闘争本能を刺激するのでしょうか
さながらプロレスやボクシングのような興奮を
プレイヤーにも、周辺のギャラリーにも与えてくれます。
それでいて現実の格闘では実現できないような大技、スピード感をも
体験させてくれるのです。
格闘では、コントローラのボタンをフルに使って
威力の違うパンチやキックを使い分けることになります。
これに十字ボタンを使ったジャンプやしゃがむといった動作と組み合わせれば
ビギナーでも容易に複数の攻撃パターンを繰り出せます。
適当にボタンをガチャガチャと押しているだけで
攻撃がヒットしてしまう「ビギナーズラック」も多いにありうるのです。
それでいて、高度な技を繰り出すためには
難解なコマンド入力をしなければならない一面もあるため、
上級者にとって奥の深いシステムにもなっています。
ゲームに設定されているキャラには、複数のボタンを同時に押したり、
瞬時に多くのボタンを入力することで発動する大技がそれぞれ設定されています。
中には十字ボタンを利用する技も含まれており、
下に押し続けてパワーをためたり
親指をすばやくずらして半円を描くように複数の方向に押したりと、
個性的で実践しにくい入力方法が採用されているのです。
こういった大技は威力が大きい代わりに入力が難しく、
発動させられる確率が低くなっています。
ここぞ、というときに、うっかり入力ミスをして
技が不発に終わってしまうことも多いということです。
ですから相手の様子や自分のレベル、残り時間などを考慮しながら
一発逆転の大技を狙うか、ボタン1つで出せる基本の攻撃で
地道に相手の体力を奪うかと、戦法を練る楽しみが生まれてくるのです。
ブームが長引くにつれ、さらに技の種類や入力法は多岐に及び、
複数の技を組み合わせると高得点が得られるコンボ技などが追加され
より派手な演出のゲームが数多く発売されました。
そんなプレイヤーの相手をするコンピュータ側のキャラも
状況に応じて多彩な技を組み合わせますが、
どんなタイミングでどんな技を繰り出すかといった駆け引きは
人間同士の対戦プレイでおおいに盛り上がりました。
コンピュータ戦は、キャラの操作に慣れるための
前哨戦といった位置付けにされることが多いようです。
この点が、袂を分けたアクションゲームと大きく異なる特徴にもなっています。
格闘アクションは口頭で威嚇しながらギャラリーと共にプレイするスタイルも、
ネットワークを利用して姿の見えないプレイヤーと戦うスタイルも
多くのユーザーに受け入れられました。
ちなみに後者は、最初にアーケードで格闘がヒットした頃、
マシンの向こう側にいる姿の見えないプレイヤーと戦っていたスタイルに似ています。
マシンの進化とともにフィールドやキャラが3D化され、
「モーションキャプチャー」という技術で
人の動きをそのままトレースした動画が利用できるようになり、
よりリアルでスピーディなゲームが楽しめるようになってきました。
3D化された格闘ゲームで大きな反響を呼んだゲームと言えば
当時の新技術を駆使した『バーチャファイター』が、まず筆頭に上がることでしょう。
同じようにアーケードからの移植で人気を博した『鉄拳』も浮動の人気を得ています。
ゲームならではの特殊な世界で、空を飛んだり異形の敵と戦ったりと
現実とかけ離れた空間を楽しむタイプが多いアクションと比べると、
格闘アクションは「現実にもありえそうな」世界観を
どこか残したフィールド、キャラが多いようです。
(2000.10.30)
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