冬の乗鞍高原

Shin Anamitsu



2009年2月21日

長野県安曇野にある、乗鞍高原 まいめ池  

白樺で囲まれた、静かな池。

雪解け春の水芭蕉からはじまり、真夏の蜻蛉、秋の紅葉まで、刻々と表情を変えながら、訪れる人たちを楽しませます。
風の無い日は、湖面に乗鞍岳が写り込み、絶好の被写体となる。

冬は一転して、ひとっこひとりいない別世界になります。
そう、ここまでのアクセス道路が、冬の間、除雪されないのである。

以前から、行ってみたい!って思ってても、なかなか行けなかった、冬の乗鞍高原。
もう、2月の終わり、天気予報は晴れ!この週末を逃すと、来年までチャンスがないかも?
ようやく重い腰を持ち上げ、現場に向かいました。

乗鞍高原の中心駐車場に車を止め、雪で閉ざされた乗鞍高原に踏み入って行く。


積雪は軽く1メートル以上
天気は快晴


恐ろしく風が冷たい、温度計は持たないが、体感予測では−5度〜−10度だと思う。

髪や、手足や、衣服についた雪はサラサラで、決して解けない。

上着は、お気に入りの、パタゴニア・ダスパーカー(2004年モデル)の下に、パタゴニア・パフボールベストを重ね着。
インナーは、モンベルのノメリウールの上下、そしてスノーパンツ。
足元は、ゴアテックス完全防水の、ナイキ最高峰トレッキングシューズ AIR TUMALO
Uに、スノーシューは、この日の為に用意した、MSRライトニングアセント25を装備。

相棒のカメラは、SWCオンリー。

上着の選択は、世界最強のダウンジャケットである、ノースフェイスの、GOREDRYLOFTバルトロジャケット最終型と迷ったが、
極寒の中でじっと動かないケースではなく、今回は移動距離も長い事から、パタゴニアの重ね着を選択した。

夏は車で10分もかからない距離なのに、深い雪の中を歩くと1時間半以上。
外は切れる寒さなのに、体は暑くてバテバテ マジで、ハァハァ ゼイゼイ となる。

耐え切れなくなり、中に着ていたパフボールベストを脱ぐ、露出した体が急激に冷やされ、瞬時に、耐え難い寒さを感じる。

途中までは、スノートレッキングの足跡が確認できたが、まいめ池近くになると、誰ひとり歩いた形跡が無い。
自分が歩いて足跡をつけるのが、惜しい感じである。


積雪は軽く1メートル以上

川も、池も、木も、岩も、何もかも埋まってしまい、何も見えない。

だけど、ここは、自分の庭みたいな場所。
そう、私は、夏の週末に、この池で過ごす事が多い。
ここに通って、もう6年である。

雪で何も見えなくても、私には、池や湖畔が見える。
川の上を歩く時は、足先に神経を集中させて慎重に、そして一気に歩き抜ける。

周囲を見渡すと、銀世界 まさに絶景である。


天気は快晴

太陽の光が雪に反射して、目がおかしくなったのか?青空の青が、今まで見たことの無い様な、すごく濃い紺色に見える。

『冬の空って、こんな色してたっけ?』

『穏やかな、冬の1日』と表現して良い様な、のどかな風景が目の前に広がっている。



けど、時折、物凄い強い風が、遠くから移動し近づき、私を飲み込んで、そしてまた遠のく。
『穏やかな、冬の1日』の様に見えるのに、体が飛ばされそうな位の突風が駆け抜けるのである。

山では、私ひとり。

夏は、沢山の人達が訪れる、のどかな高原なのに、除雪されず、ある程度の装備が無いと入れない環境になると、まったくの別世界。

自分は自然界にとって、本当にちっぽけな存在なんだなぁ? って、しみじみ感じた。




一之瀬園地