私の愛機
(2009年機材整理の為、放出)

Shin Anamitsu


1996年に販売された、ニコンのフラッグシップ機5代目です。
開発コンセプトは、 『プロフェッショナルユースを念頭に置き、来る21世紀のフラッグシップカメラとして提供する。』
キーワードは、『スピード』とし、
『写真を撮影する為の道具であるカメラとして、すべての作動をスピードアップするにはどうしたら良いか?』
というのが合言葉だったそうだ。

含銅シルミン系アルミダイキャストボデイーを基本に、
外装は、アルミダイキャストと、ファインダーカバーにはチタンが採用されています。
デザインは、ジュージアローが担当し、従来のフラッグシップ機にあった、シャッターダイヤルを廃止し、
新しく、液晶画面とコマンドダイヤルという操作方法に一新されました。
高速巻き上げモーターを標準装備に伴い、
F5は、従来のフラッグシップ機は、バッテリーフォルダが脱着式であったのに対し、
バッテリーフォルダー一体式構造となっており、ボディーが大型になったのも特徴です。

機能面は、更に練り上げた内容で、 5点のフォーカスエリアを持つ、最新最速AFシステム。
AFシステムの多様化。
色彩情報と被写体の距離まで計算に入れた、3D−RGBマルチパターン測光。
更に高速巻上げ、高速巻き戻しを実現させたモータードライブ。
シャッター幕のバウンドによるブレを抑えるためのシャッターバランサーの搭載。
シャッターを切る毎に自己診断し、狂いが発生した場合自動補正を行う、シャッターモニター機構。
各部の防滴性を、徹底配慮した設計。
などが上げられます。

私にとって、Nikon F5 というカメラは、使えば使うほど、その凄さを体感する、素晴らしいカメラです。
素晴らしい=気持ち良いのです。
ボディーを持った時の心地良い重さと、ホールド感。
ファインダーを覗き、シャッターボタンを半押しにして、AFがピントを合わせ、
シャッターボタンを押してシャッターを切ると、瞬時にフィルムが巻き上げられる。
この一連の動作が、Nikon F4S と比較した場合、ものすごいタイム差があるように感じます。

明らかに Nikon F5 はすべての動作が早く、軽快なのです。

エアガンに例えると、シューティング競技でチャンピオンを狙う為に、チューナップしたハンドガンのようなカメラです。
集弾率、を高める為に、すべてのパーツをカスタマイズし、
速射性能を最大限に引き上げる為に、すべてのパーツを擦り合わせして抵抗を除去、
また、数ある標的に、瞬時に銃口を構える為に、
ホールディングバランスを加味した、 ボディーの重量バランスを取った、競技用ハンドガンです。

ちなみに、Nikon F4S をエアガンに例えると、
精密射撃でチャンピオンを狙う為に、チューナップされたスナイパーライフルのようなカメラです。
集団率を高める為に、銃口は長く、すべてのパーツをカスタマイズし、
また各部を擦り合わせして精度を出し、
一発必中を目的に作られた為、連写性能と、銃本体の取り回しには劣る。 
そういった感じです。

おっと! 話しがそれてしまいました。
Nikon F5 は撮っていて気持ち良いカメラです。

それは何故? 

私が考えるに、
@ファインダーは最高レベルで、気持ち良く、AF合掌速度が速い。
A5点のAFポイントと、2種類のフォーカス設定を酷使して、瞬時に対応できる。
Bシャッターのタイムラグが極めて少ない。しかも、シャッターを切った時の衝撃は、限りなく少ない。
Cフィルム巻上げが、ものすごく早い。

まとめると、すべての動作が、静かで速く、軽快なのです。

Nikon F5 の特徴として、8コマ/秒という、連写性能があります。
8コマ/秒 という連写性能をフルに使う人は少ないと思います。
理由は、36枚のフィルムを、僅か4.5秒で撮り切ってしまうのですから。
しかし、『使わないから必要がない!』といった解釈は間違っている事を、Nikon F5 を手にすると判ります。
1コマ送りの場合でも、フィルム巻上げ性能で、シャッターを切った時のフィーリングがまったく違うからです。
Nikon F5 の場合、シャッターを切った瞬間に、フィルム巻き上がりが終了していますので、
シャッター音は聞こえますが、フィルム巻上げの音は感じられないのです。
Nikon F4S や、その他のカメラの場合、シャッター音とフィルム巻上げ音が、心地良く混ざった音色ですが、
Nikon F5 の場合は、ほとんどシャッター音だけなのです。

ファインダーを覗いて、シャッターチャンスを確認した瞬間に、撮影が終了する。
最初の頃は、『え!もう撮っちゃったの!』と、感じたくらいです。
これが、Nikon F5 の凄い所なのです。

カメラ雑誌で、読んだ事がありますが、
『Nikon F5 を使うと、1発1発 決まった!と感じさせる何かがある。』
『後ろ髪を引かれないカメラ。』
といった内容だったと思いますが、 まさにその通りで、
シャッターを切った1回1回、手ごたえを感じるというか、何故か満足感・達成感を感じてしまうのです。
これが、Nikon F5 の不思議な所です。

Nikon F5 は完全なAFカメラです。 少なくとも私は、その様に感じます。
MFレンズも使えますが、AFレンズを使った方が、Nikon F5 の性能を引き出せるので、良いと思います。
Nikon F5 になって、AFポイントが5点に増えました。
最初のうちは、慣れないせいか、あまり魅力は感じませんでしたが、
慣れると、やはりAFポイントは多い方が良い事に気付きます。
液晶表示とコマンドダイヤルという操作系も、慣れれば便利です。
ボ〜ッっと撮影したい時の、プログラムモードでのプログラムシフトは、重宝します。

Nikon F5 であっても、使い辛い点はいくつかあります。
絞り値と、シャッタースピード設定値をコマンドダイヤルで変更する時、
また、プログラムシフトをコマンドダイヤルで変更する時に、 1/3ステップでしか変更できないので、
大きな設定変更の場合、手間取ります。

まぁ、この設定変更に関しては、最初は慣れなくて、面倒に思いましたが、
使っていくうちに、1/3ステップの方が細かい調整が出来、便利ですねぇ。
出来れば、カスタムセッティングの項目に、ステップ量を変化できるようにした方が良いと思います。

また、ボディ背面に装備された、AFスイッチと、AEロックスイッチが小さいので押しにくい事でしょうか。
これについては、ニコンのサービスセンターにて、改造をしてもらえます。
その辺の不具合の改良をして、Nikon F5 スペックU みたいなモデルを出してくれると、良いのですが・・・・・

さて、長々と書いてしまいましたが、 Nikon F5 は、撮っていて気持ち良いカメラです。
恐るべき機動能力を備えた、現在最高のカメラで、私の相棒です。
特に、私の主被写体である蝶の写真は、これで撮るのがベストであると思っています。