関節鏡について


関節鏡検査について

検査とは,関節の中を内視鏡で直接見ることによって詳しく調べるものです。
関節鏡VIDEO SET
内視鏡を用いますと手術で関節を切開して観察するより鮮明かつ詳細に見ることができ正確な診断が可能になります。また、関節を動かしながら観察しますので関節を動かしたときに起きる変化を知ることができます。関節鏡で見ながら関節軟骨の硬さや欠損した軟骨の状態を小さな道具でさわって確認することができます。半月板は断裂すると関節の中で噛みこんでしまうことがありますが関節鏡を用いて元に戻すことができます。このように関節鏡を用いれば関節に切開を加える手術より優れているといえます。関節の中を静的および動的に観察することができ、整復などの操作も加えることが容易にできるのです。診断のみならず半月板切除や十字靭帯の再建など膝関節手術の殆どが関節鏡を用いて行うようになりました。

関節鏡の太さが気になるところですが、一般に用いられるものは直径5mmで視野が広く明るいものです。私どもでは直径2.7mmの細いものも用いるようにしています(2.7mm関節鏡写真)。 少し視野が狭いのですが太さが約半分になる分、術後の痛みも少なくなるようです。細いほうで5mm程度の皮膚切開が必要になります。手術のために関節を切開すると、どうしても大腿四頭筋を損傷しますが、小さな穴だけで済む関節鏡視下の手術では殆どありません。そのため術後膝関節を自由に曲げのばしする事ができ、スポーツなどへの復帰が早いのです。関節鏡検査中に明らかな診断がつく場合は同時に半月板切除などの処置をする場合があります。局所麻酔で疼痛なく容易に行える範囲に限局して行うことになります(関節掃除の道具)。

関節鏡を行う場合はもちろん麻酔を行います。関節鏡の刺入する部分をしびれさせれば十分関節鏡検査ができます。関節鏡検査後は局所麻酔ですので歩行は通常どうりに可能です。関節を切開するよりも痛みも少なく入院は必要ありません。


関節鏡検査の前に

麻酔は局所麻酔ですから飲食をしてもかまいませんが、検査の途中で痛みがでてきた場合や検査に引き続いて処置を行う場合には麻酔を追加することがありますので術前の4ー5時間前はなるべく絶食して下さい。 最近、麻酔シールを貼布することによって麻酔の注射をする皮膚を予めしびれさせることが出来るようになりました。そのため貼布剤をはっておくために手術開始より30分から1時間前からに来ていただくようにしています。 当日、着替えの術衣を用意しています。消毒薬は洗えばとれますが少し下着などが汚れることがありますので一張羅のものは着てこない方がよいようです。


関節鏡検査後について

たとえ小さい道具とはいえ関節に穴をあけるわけですから清潔に注意をしています。15分位で検査そのものは済みますが足の消毒や道具のセットなどで前後30分くらいかかりますので1時間ほどは覚悟しておいて下さい。

麻酔は数時間きいていますのでその間痛みはなく歩行できます。できればそのあいだに帰宅して下さい。痛みが出るようであれば、差し上げた痛み止めを飲んでください。鎮痛消炎剤や抗生物質をお出ししていますのでアレルギーや胃の問題などがなければ指示に従って服用して下さい。傷の処置は強い炎症がなければ放置しておいてもかまいませんが1−2日おきに消毒した方が安全です。ガーゼに滲出液などが多量に認められる場合や、局所の熱感や痛みが強い場合はできるだけ早くみせてください。関節鏡を挿入した後は1、2針縫合していますが、1週間程度たてば抜糸できます。その間は傷をぬらさないように気をつけて下さい。特にお風呂の水は不潔なことが多いので絶対に浸けないようにして下さい。当ててあるガーゼが表まで滲出液で濡れている場合は傷が十分に閉じていないことが心配ですので絶対にお風呂に入らないで傷を見せて下さい。

関節鏡検査だけですと関節軟骨や靱帯などの関節内の組織を観察するだけですから術後すぐ歩いてもかまいません。翌日は傷を診せに御来院下さい。痛みの強い場合は関節の中に血液などが貯まっていることが多いので、是非来院して処置を受けて下さい。しかし、2−3日は急性期ですので強く曲げたり伸ばすと痛みがでる場合がありますのでなるべく無理をしないようにして下さい。数日たてば少しひきつった感じがある程度になるはずです。一週間で通常抜糸出来ますが、お風呂はできれば抜糸の翌日に傷がきれいになっているかを確認してからの方がよいと思います。関節鏡を使って半月板の切除や関節の掃除をした場合などは少し関節のなかの傷が大きいので検査だけに比べて関節の腫れが持続する事があります。3週間くらいでかなりよくなることが普通で術後の診察をしっかりとしていれば問題ありませんのであまり心配しないでよいと思います。


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