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13日目

標識とインチキ実験装置
赤道の標識

赤道

朝食をいつもどおりホテルのレストランでとる。 今日の昼食はホテルの予定だったが、 帰ってこれないのでランチボックスを作ってくれるそうだ。 やはり自分で勝手に行動するよりもツアー全体の行動になると何かと楽なのかも。

リーダと席が隣になったので「キリマンジャロに登れなかったけど、少しは気持ちもましになってきて、次にはモンブランに登ろうかと思っている。今回は高山病の対策を知りたくてツアーにしたのでちょっと教えてほしい」というような話をすると、 今回の高山病対策を教えてくれた後で、「高山病の直し方・防ぎ方」(山洋社、ピーターハケット著)という本を紹介してくれた。

例によって1BOX2台で出発。 私は日に日に体調が戻ってきて元気になってきたけど、 周りの人はかなり疲労がたまってきてるみたい。 なんかうれしいような、悲しいような。。。
赤道までは片道3時間。途中1度だけ土産物屋(すごく高い)に立ち寄って、ほぼ予定通り到着。 赤道は噂通り看板以外何もないが、 周りを「赤道マーケット」が取り囲んでいる。

ここはケニア山にかなり近いはずだけど、 どうやら雲の中らしい。 リーダも昨日「もしかしたら見えるかも」という言い方をしていたので、見れないことが多いのだろう。

コリオリ実験ショー

ここでの最大の見せ物は「コリオリ実験ショー」だろう。 看板の下で写真を撮っていると、どこからともなく「コリオリ説明員」が登場する。
彼が言うには「コリオリの力の影響で南半球と北半球で水の流れるときの渦が逆になる。その実験を今ここで見せる。コリオリの影響は最低赤道から20m離れないと現れないから気をつけるように」とのこと。なるほど最初の1文は納得できるが、たった20mで現れるというのは非常に怪しい。

実験装置は水の入った大きめの容器、底に小さな穴の開いた小さめの容器、マッチ棒。
小さめの容器の穴を指で押さえて水を注ぎ、穴から指を離してから大きめの容器にのせて水が流れ始めたところでマッチ棒を水面に置く。すると渦ができるにしたがって、マッチ棒が回転を始める、というわけ。

彼は説明を終えると北半球方向に歩き始めて、20mくらい離れたところで渦を作った。なるほど彼の言う方向に回っている。
次に南半球に向かって歩き始め赤道から20mくらい離れたところで再び渦を作った。今度も彼の言うとおり北半球とは逆方向に渦ができている。しかし、「最低20mはないと影響がでない」と言っていた割には恐ろしい勢いで渦ができている。「これだったら赤道から1mでも小さい渦ができそうだなぁ」と思って見ていると、今度は赤道に持っていった。さっきまでの2回はささっと実験を始めた彼も今度はやけにゆっくりと水を注いで、その後もなんやかんやと講釈をしながら水が穏やかになるのを待っている。当然彼の言っているとおり、赤道上では渦ができない。

彼の目的はこの説明にあるのではなくて、この後で売りつける「赤道証明書」を発行することにある。証明書とは言っても彼が勝手に印刷したもので、彼が配るときに記入した日付が間違っていて指摘しても、そこはアフリカ人「自分で書き直して」だそうな。しかし、何はともあれに1枚\200という値段も含めてなかなかアフリカ人離れしたいい商売だ。(他の真面目に働いているアフリカ人には許せないだろうけど)

いっぱい証明書が売れてほくほく顔の彼から実験装置を借りて私も実験をやってみた。なるほど渦はできるが、簡単に逆の渦もできてしまう。その時に彼が言う台詞は「それはおまえが水が穏やかになるのを待たないからだ。もっとそーっと水を入れて、穏やかになるのを待たないと」というもの。「さっきおまえがやってた時はもっと乱暴に水入れてたじゃないか。逆に回ったときだけそういう指摘をするのって変じゃない?」と思いながら、何度も場所を変えて実験するが、どうやら場所との相関は全くないようだった。

「こうなったら彼の実験をもう一度見るかしかない」と思って待っていると、次のお客が現れて実験を始めた。結論から言うと完全なインチキなのだが、なかなか彼の芸も細かい。赤道上で説明を終えるといち早く北半球20mのところへ歩いていく。ほとんどの客は後からついていくから、その見られていない間に水を勢いをつけてそそぎ込む。そのままだと表面に波ができて回転していることが分かってしまうので、最後に少し真ん中に水を注いで表面を穏やかにする。しかし、水の中は十分に回っているので、指を穴から離したとたんに渦がきれいにできる。南半球の時も同様な手口で逆に渦を作る。

そして、赤道上に来るときにはゆっくりと注いで、注いだ後もマッチ棒を水の中につっこみながらくどい説明をして、回転をとめる。その後、指を離すと水はほとんど回転しない。 つまり、そもそもここのそばでこの実験をちゃんとやれば渦はできないのだ。 彼のインチキを見破ろうと意気込んで見ていたが、 想像以上の芸達者なインチキぶりでおかしくなってしまった。

私としてはこのインチキが分かって結構楽しかったけど、 解明した行為が「夢がない」という意見もあった。 個人の好みの問題だと思うけど、 私にとっての夢とはもっとしっかりした(赤道から距離の離れた)北半球と南半球に行って、ほんの少しの渦が逆に回っているのをこの目で見ることであって、インチキでデフォルメされた実験結果ではない。

コリオリに関しては 「ラクトアイスな日々」に詳しく載っている。 どうやらこのインチキ実験は世界的に有名らしい (ケニアの話なんだから当たり前か、、、)

土産物屋

ナイロビへ戻る途中に土産物屋によった。 他の土産物屋でも時々あったことだが、 お店の門は閉ざされていて私たちの車が正面に来ると門を開けて中に入れる。 ツアーでなかったらこのような店に入れるのだろうか。

車から降りると現地の人が話しかけてきた。 「旦那が日本の大学に行っている」とのこと。 へぇー、というような適当な会話をした後、お店を物色してから帰ろうと車に乗ると、その人が「これ私の住所だから手紙ちょうだい」と言ってきた。 「悪いけど時間がないから」と言い訳にもならないことを言って断ったが、悪いことしたのかな。 でも、筆無精だから下手に受けとって期待させちゃいけない、って本には書いてあったけど。


ナイロビ出発?

夕食をナイロビの中華料理屋で食べた後、 今日中にナイロビを出発できる予定だったが、 リーダの予想を上回る飛行機の出発遅れで深夜0:00を越えてしまった。続きは次ページ。
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