1.カイカイシキ
1988年、4年に一度の裏オリンピックが、ソンル市でおこなわれようとしていた。
「これよりパロ・パロ・オリンピッキを始めます。まずカイカイの歌。」
「春が来た。水虫来た。どこに来た。足に来た。今年も来た。またも来た。
夏が来れば思い出す。涼しいムヒ、青いウナ。
秋、あれ水虫で泣きだした。カイカイカイカイカ〜イカイ。
冬、しもやけお手々がもうかゆい。
カイカイ四季でした。」
2.メイン・イベント
「さて、いよいよ注目のカールイッス対ベンジョン・ソンジの100グラム、アイスクリーム早食い決勝が始まろうとしています。私、実況中継の、ふるいたち・そうろうです。勝つのは世界一軽い男、カールイッスか、それとも世界一くさい男、ベンジョン・ソンジか。解説の大島さん、噂ではカールイッス有利と言われてるんですが、いかがなもんでしょ。」
「大島ではありません。名字は王、名が志摩、オー・エヌと呼んでください。」
「では、オー・エヌさん。改めてお伺いしますが、カールイッスとベンジョン・ソンジどちらが勝つでしょうね。」
「そうですね。やっぱり、カールイッスというだけに彼の調子はいいでしょうね。でも、ベンジョン・ソンジは、本性を現しませんから、やはり臭ってきますですね。」
解説者は、おおきな鼻をつまんだ。
「貧しい家に育ったベンジョン・ソンジは、その辺の駆け引きがうまいですからね。さて、このレースに勝ったほうには、副賞としてハーゲンダッチのアイスクリームが送られます。
さて、一コースは韓国代表コーリアンズキ。二コース注目のアメリカ代表カールイッス。カメラの前でピースを出しています。やはり軽いです。三コースには日本代表ジャム・ぱんだ。この人はハーフであります。そして四コースにカナダ代表ベンジョン・ソンジがはいっています。五コースアメリカ代表ウサ(USA)・バラッシであります。」
選手達が、コースに着くと、スターターが現われた。
「おれ、ルパン賛成。今日の獲物は、なんたってあのハーゲンダッチのアイスクリームだかんね。こうやってスターターに化けて、すきを見ていただくってすんぽうさ。どうやら銭肩のとっつぁんも来てねぇようだし、楽勝だーな。ほんじゃま、愛用のこのワルサーP38で一発派手に行きますかね。にひひひひっひ。」
「チェリオ。」
「チェリー(錯乱ぼう)じゃ。」
「ドドーン。」
突然、なんの脈絡もなく現われたチェリー(錯乱ぼう)に、選手達は、その場に倒れてしまった。
「おっとフライングです。さて選手達は気を取り直して、位置につきます。」
「チェリオ。」
続けてピストルが鳴ると各選手一斉にアイスクリームを食べ始めた。
「ベンジョン・ソンジ、いいスタートだ。カールイッス、追う。しかし追いつけない。速い。ベンジョン・ソンジ、カールイッスを振り切って、一着でゴール・インだ。ベンジョン・ソンジ優勝です。ベンジョン・ソンジ勝ちました。圧倒的なはやさです。強い絶対に強い、われらが黄金パット。ワハハハハ・・・。」
その時、突如解説のオー・エヌ氏が、口を挟んだ。
「おや、何かもめていますよ。役員達がどうやら、選手達が食べた後を調べているようです。」
「ベンジョン・ソンジ失格。優勝はカルイッス。」
役員の発表であった。
「おや、どうしたことでしょう。」
アナウンサーは、解説者に、尋ねました。
「どうやら、ベンジョン・ソンジのアイスクリームに、何か掛けてあったようですね。」
役員達の様子をじっと見ていた解説者が、つぶやいた。それを受けてアナウンサはマイクに向かって大声で叫んだ。
「トッピングです。ベンジョン・ソンジ選手にトッピングがあったもようです。」
「ベンジョン・ソンジさん、なにか一言。」
「知らなかった、知らなかったんだよう。街で皆してたんだ。俺は、うらやましかった。俺は、いつもクリームのみだった。だから、だから・・・。」
インタビュアの問に対し、ベンジョン・ソンジは泣きながら答えた。
「どうやら、貧しさが原因のようです。貧しさに負けた。いいえ世間に負けた。この街も追われた。いっそきれいに引退か。では、繰り上げ優勝となりました、カールイッス選手にインタビューしてみましょう。カールイッスさん、今の御気分は?」
「カールイッス。」
3.へいかいしき
「競技の終了にあたり天皇陛下からのお言葉をたまわることにいたします。」
「・・・」
「陛下、一言。」
「zzz・・・」
「陛下、起きてください。」
様子を見ていた主治医が一言いった。
「だめです。陛下、意識はありません。」
「バァロ、バァロ、オリンピッキのバーロー!!」
叫び続けるベンジョン・ソンジを無視して、場内に無情のアナウンスが流れた。
「以上で、バァロ、バァロ、オリンピッキを終わります。」