POP MUSIC FOR SINGLE LIFE


(SUNDAZED SC 6132)

The Rascals

The Island Of The Real('72)



 ラスカルズとしてはラストとなるこのアルバム。最近、米サンデイズドからリイシューされたのを購入して聴いてみたのですが、無茶苦茶気に入ってしまいました。

 前作、『ピースフル・ワールド』もCD化されたのを買って聴いてみたことがありますが、『ピースフル〜』の深刻さ、ストレートに言ってしまえば、暗さ、を取り除いて、トロピカル(死語?)なフレーヴァーを加味した様な印象を受けます。さらに言えば、前作は聴く側にも、とにかく真剣に聴くことを要求するような感じがしたのに対し、この『アイランド〜』は気楽に聴くことができて、無条件に聴いていて気持ち良くなれます。からだの力がスーっと抜けていくような、そんな心地よいサウンドです。

 中身はブルーアイド・ソウル、と言ってしまえばそれまでなんですが、かなりファンク色が強くなってきてます。女性コーラスを効果的に使ったり(「Echoes」という曲ではその女性コーラスにリードを歌わせていたりもします)、高音のホーンをアクセントに使ったり(これが私にどことなく南を感じさせる要因になっている)しています。あと、フェリックス・キャヴァリエ自身がアープとかのシンセを弾いているのですが、このアルバムの後に出したソロアルバムの珍妙なシンセ音を満載したサウンドはプロデューサーのトッド・ラングレンだけの趣味じゃなく本人にも結構こういう趣味があるんだな、ということを教えてくれます。

 しかし、やはりサウンドの肝はフェリックス・キャヴァリエの乾いたヴォーカルとジノ・ダネリの前に出てこない奥の方で聴こえるドラムでしょう。これさえあればラスカルズになってしまうのですから。

 そのほか、ラスカルズとスティーリー・ダンって何処となく似たところがなるなあ、とか。小坂忠の声ってフェリックス・キャバリエに似てるな、とか。

 とにかくこれからの季節にはもってこいのアルバムです。

 あと、『ピースフル・ワールド』もやはり傑作だと思います。

 

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