POP MUSIC FOR SINGLE LIFE

ワーナーパイオニア 32XD-707
FLEETWOOD MAC
Big Love〜『Tango In The Night('87)


 フリートウッド・マックは初期(60年代)のピーターグリーン在籍時のブルース・ロック時代、リンジー・バッキンガム、クリスティン・マクヴィー、スティーヴィー・ニックス在籍時の『噂』前後(70年代後半〜80年代前半)のポップなヒット曲を連発していた時代など、それぞれの時代にそれなりの魅力を放ち続けたグループですが、私がリアルタイムで聴くことが出来たのは87年の『タンゴ・イン・ザ・ナイト』です。

 その当時、このアルバムから最初にシングル・カットされた「ビッグ・ラブ」を聴いた時、そのメロディーの起伏のなさ、クールな音場感、楽器的に使われるサンプリングされたような「ア、アン」という声、ラテン調だけど感情を押し殺したような無機的なギターなど、それまでメロディー重視で音楽を聴いていた私には、何処をとっても以前に聴いたことが無いような音楽でした。この曲を作ったリンジー・バッキンガムって変わってるなあ、とか思ったりもしましたが。しかし何故か気に入って、よく聴いていたのを憶えています。

 余談ですが、憶えていると言えば、この当時U2の『ヨシュア・トゥリー』が爆発的にヒットしていて、高校の昼食時の校内放送でU2の「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」とフリートウッド・マックの「ビッグ・ラブ」が続けて流れた時、「ビッグ・ラブ」の方が格好イイというようなことを言ったら、周りから非難を受けたことを憶えてます。

 で、現在テクノ・ポップがマイブームの私が「ビッグ・ラブ」を聴くと、改めてその格好良さに参ってしまいました。「起伏のなさ」こそ格好良さだと思います。ただ、そうした起伏のない中で突然ヴォーカルが、シャウトする所などは『スタンド!!』の頃のスライを連想したり、リズムがユーロ・ビートっぽいとか、ギターがサンタ・エスメラルダの「悲しき願い」を連想させるとか余計な事を考えたりもしますが。

 テクノ・ポップが聴きたくてフリートウッド・マックを聴くと言う人は殆どいないと思いますが、トレヴァー・ホーン関連のテクノ・ポップが好きな方には特に聴いてみて貰いたいです。『タンゴ・イン・ザ・ナイト』自体もすべての曲をリンジー・バッキンガムがアレンジしていて、「ビッグ・ラブ」と同じクオリティーを保っており、捨て曲無しです。

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