精神的成長

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精神的な意味での人間の成長とは何だろう。人間の精神を評価する基準は時代や社会によって変化する。基準が変化すると、自分が変化していなくても評価が変わるので、成長しているのかどうかがよく判らない。成長という変化を考える場合の基準は一定していなくてはならないのである。

では、1つの価値観を基準にしてそれをどこまでも追求するのが成長かと言うと、それは精神的な偏りがひどくなっているだけである。人間の精神は複雑に機能するものだが、1つの価値観は「精神機能の一部を限定的に発揮すること」に対応していると思われる。1つの価値観が精神機能の一部に対応しているとすると、多様な価値観を身に付ければ、精神機能を偏り無く発揮できるようになっていくはずである。それが精神が成長していく方向ではないだろうか。

つまり、精神の成長とは「今の自分の価値観に加えて、それとは異なる価値観を身に付けること」である。価値観を身に付けるとは、その価値観に従って行動できるようになることだ。個人がひとつの価値観を身に付ける試行錯誤の過程が「マイブーム」である。我々が何かに熱中している時、自分の精神機能の新たな可能性を開拓しているのだ。それが「やりたいことをやる」ということである。

多様な価値観が身に付いたかどうかはどのようにして判るのだろうか。多様な価値観を身に付けると、ものごとの良い面を発見する確率が高くなって、好運なことが多くなる。好運なことが多いと、当然、気分が良くなる。つまり、精神的成長とは気分良く暮らせるようになることである。気分が良くない時は、自分の価値観を見直す必要がある。

 → 多様な価値観が好運を生む